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妊娠・出産を経験した人の多くが口にするのがつわりの問題です。人によってはすごく楽だったという人もいれば、つわりが酷くてほとんど外に出られなくなったという人の話も聞きます。

なぜこんなに人によってつわりの現状が違うのでしょう? つわりを軽くしたり、なくしたりすることはできるのでしょうか?

そこで今回は、En女医会の運営部メンバーである産婦人科医の十倉陽子先生につわりについて聞いてみました。

つわりの原因はわかっていない?

――そもそも、なぜつわりが来る人と来ない人がいるのでしょうか?

実はつわりの原因はまだはっきりとわかっていないんです。原因がわかっていないので、つわりが重い人と軽い人がいる理由ももちろんわかりません。

ただ、妊娠による様々なホルモンの変化、代謝の変化、環境の変化、ストレスなどから起こるのではないかと言われています。

つわりをなくすことはできない

――つわりの原因はもうハッキリしているのかと思いましたが、意外にもわかっていないのですね。ではつわりをなくすことはできるのでしょうか?

実際問題、つわりをなくすというのは難しいですね。ただし、「症状を軽くする方法」は色々あります。また、重症化して入院しなければいけない方はごくわずかですので安心してください。

――つわりが悪化する原因というのは?

つわりはストレスで悪化します。家庭内不和やご主人との関係、お仕事の忙しさを見直すことで、つわりが軽くなるというケースもたくさんあります。また、脂っこいものをたくさん食べたり、刺激のあるものを食べたりすることで、症状が重くなることがあります。

――つわりが酷いとどのような症状が出ますか?

つわりが酷くなると、食べられないだけではなく、飲めず、嘔吐し続け体重も減ってきてしまいます。身体は飢餓状態と脱水状態になってしまいます。通院での点滴治療や、入院が必要になることもあります。

つわりを軽くする方法とは?

――つわりに効く薬のようなものはないのですか?

つわりの出る時期がちょうど赤ちゃんの身体ができてくる時期なんですね。お薬の使用に慎重になる方が多く、つわりの症状が軽い場合はお使いにならない方がほとんどです。

ただ、漢方薬を使用する方や、あまりにつわりがひどければ医師に相談の上で吐き気止めなどを使われる方はいらっしゃいます。点滴で糖分やビタミンを補給すると、随分楽になられる方が多いですね。我慢しすぎず、治療するかどうかについては、通院先の先生とよく相談してください。

――では、薬以外でつわりを軽くする方法があれば教えてください

空腹時につわりを強く感じる人が多いです。少量の食事をこまめにとったり、水分補給したりなどをするようにしてみてください。妊婦さんの中には、ずっと飴をなめていたり、小さいオニギリを持ち歩いていつでも食べられるようにしたりしている方もいらっしゃいます。

その他、匂いに敏感になっている人なら、部屋の芳香剤やシャンプーなど、匂いのするものを変えることもひとつの手です。

炭酸飲料を飲むと胸焼けのような症状がすっきりするという方もいらっしゃいますね。ストレスでも悪化しますので、電車のラッシュを避けて通院してみたり、お仕事や家事をセーブしリラックスして過ごせるようであれば試してみてください。

――つわりの時に注意することなどはありますか?

つわりになると食の好みが変わったり、ひとつのモノをずっと食べたくなったりすることがあります。カレーや梅干し、ガリガリ君、スイカ、トマトなど食べたいものが色々と出てくる人がいます。

「食べたら楽になるもの」は本当に人それぞれです。昨日は大丈夫だったものが今日はダメになったりと毎日のように変化する方もいらっしゃいます。「○○は食べちゃダメ」などと考えたりせず、「食べられるものを食べる」という考えを持つことで、ストレスにならないようにした方がいいでしょう。ただし、もちろんですか、お酒とたばこは絶対にやめてくださいね。

――なるほど。一言でつわりといっても本当に色々なものがあるのですね

そして大事なのは、ストレスをためないことですね。あまり考えすぎずに、神経質になりすぎないようにしながら、リラックスできる環境を作ることがつわりを軽くするコツなのかもしれないですね。

――ありがとうございました!

■プロフィール
十倉 陽子
主に生殖医療に携わっている産婦人科専門医。英ウィメンズクリニック勤務。150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加するEn女医会に所属している。En女医会は、会員が持つ医療知識や経験を活かして商品開発を行い、利益の一部を社会貢献に使用。医療分野での啓発活動を積極的に行っている。