マイクロストラテジー・ジャパンは4月6日、TKP ガーデンシティ竹橋において「MICROSTRATEGY SYMPOSIUM TOKYO」を開催した。本シンポジウムは、同社の最新動向と今後のビジョン、最新リリースの機能などについて、製品デモや活用事例も踏まえて紹介するというもの。今回はその中から、米MicroStrategy CEOのマイケル・セイラー氏が登壇したキーノートの様子をレポートしよう。

米MicroStrategy CEOのマイケル・セイラー氏

2015年10月に、約6年ぶりの大型バージョンアップを果たしたエンタープライズ向けアナリティクス統合プラットフォーム「MicroStrategy 10」。その最新版である「MicroStrategy 10.3」について、セイラー氏は「洞察のための『アナリティクス』、アクションをとるための『モビリティ』、安全なアクセスを実現する『セキュリティ』、これら3つをまとめて提供するのがMicroStrategy 10.3の特徴です」とアピールする。

まずアナリティクスに関しては、複数ソースのデータを組み合わせ、レポートやダッシュボードなどで分かりやすく可視化することが可能。すべてのアナリティクス機能をHTMLとネイティブモバイルクライアントで提供することにより、大量のデータに対してあらゆるデバイスからアクセスでき、なおかつ高度なビジュアリゼーションを実現する単一プラットフォームとなっている。

すべてのアナリティクス機能を単一プラットフォームで実現する「MicroStrategy」

レポートの作成・カスタマイズ・配布が容易に行える各種ツールを備えているほか、OLAP機能でデータを高速に分析・操作できるのもポイント。データベースに無駄なSQLのクエリを発行することなく、スピーディーにデータのスライス&ダイスが行える。また、エンドユーザー自身で必要なレポートの作成・変更・保存をさせることも可能だ。これにより、開発・運用・管理にかかるIT管理者側の手間やコストを軽減することもできるという。

そしてもうひとつ、予測分析が行えるのも特徴だ。MicroStrategyのネイティブデータマイニング関数、350以上の統計関数や予測関数が用意された標準関数ライブラリに加え、R言語との連携により数千ものモデルを利用することが可能。各種データマイニング製品間で分析モデルの交換・共有が行えるマークアップ言語「PMML(Predictive Model Markup Language)」で作成した予測モデルのインポートにも対応している。

分析予測のデモンストレーション

ビッグデータ活用や地図連携機能も実装

さらにMicroStrategyは、近年注目が高まっているビッグデータを活用したアナリティクスも可能だ。分散処理を支えるHadoopの主要ディストリビューションをすべてサポートしており、コーディングやMapReduceの知識がなくても、クエリの実行やインメモリデータの一括読み込みなどが行える。また、Hadoop GatewayがHadoopとネイティブに接続するためODBC(Open Database Connectivity)の負担がなくなり、高パフォーマンスを実現できるという。Solrの検索機能と連携したビッグデータアナリティクスのさらなる高度化、ダイレクトなライブ接続やビッグデータのデータセットをインメモリのレイヤーにインポートすることも可能だ。

ビッグデータを活用したアナリティクスも可能

そのほか、デスクトップアナリティクスとビジュアリゼーション、数千人に対して配信できるパーソナライズされたドキュメント/レポート/ダッシュボード、豊富なウィジェットライブラリやD3との連携で美しいビジュアリゼーションを簡単に追加できるダッシュボードとスコアカードなども特徴となっている。

デスクトップアナリティクスとビジュアリゼーション

セイラー氏は「単純にデータを集めるだけでなく、能動的に扱えるのが大きなポイントです。ダッシュボードとスコアカードでは、地図連携により地図空間データを動的に描画し、さらに地図をデータのセレクターとして使えるなど、“インプットとしてのビジュアリゼーション”と“アウトプットとしてのビジュアリゼーション”の垣根をなくすことができます」と語った。

地図連携も含めたビジュアリゼーションのデモンストレーション