自動販売機でドリンクを買うともらえるポイント。これからはスマートフォンで管理、というのが今後の主流になるかもしれない。4月に入って日本コカ・コーラが「Coke ON」、ダイドードリンコが「Smile STAND」というアプリをリリースした。これらのアプリは利用者からすれば、ちょっと便利になるだけかもしれないが、自販機飲料の大手2社は重要なツールとして位置づけたいようだ。

異例の発表会

「Coke ON」は自販機ビジネスにおける新たな価値の創造をもたらすと話すティム・ブレット代表

日本コカ・コーラがリリースしたスマホアプリ「Coke ON」。4月7日、アプリに関する発表会が開催された。取材記者ならわかることだが、アプリのために発表会が開催されるのは、もはや極めて稀。かつそこに同社の代表が登壇したのだから、いかに重要な発表会であったかがよくわかる。

実はこの「Coke ON」、「コカ・コーラ デジタルマーケティング3.0」の中核に位置づけられるアプリだ。マーケティング1.0でオウンドメディアの推進を打ち出し、マーケティング2.0でFacebookやLINE、Twitterといったソーシャルメディアの活用を進めた。3度目の区切りでアプリを活用しようというわけだ。

「Coke ON」の最大の特徴は、ドリンクチケットだろう。アプリをダウンロードしたスマホと、対応自販機とをBluetoothで接続する。対応自販機にお金を入れ、ドリンクを買うと、アプリにスタンプが1つ刻印される。それを15個集めると、1本無料でもらえるチケットが付与される。

日本コカ・コーラの自販機は全国に100万台ほど設置。年内に14万台が「Coke ON」対応自販機に変わるという

「Coke ON」アプリ。15個のスタンプで無料のドリンクチケットがもらえる

アプリを活用することで、次のようなことも可能になる。リオ五輪で日本人が金メダルをとったらドリンクチケットを発行、気温30度超のエリア限定でアクエリアスのドリンクチケットを発行、といったことだ。前者については、実際に実施する方向であり、後者についても検討中だという。

これらの機能について、消費者からすれば、ちょっとおトクになっただけ、という認識しか持てないかもしれない。しかし、日本コカ・コーラにすれば、消費者と接点を持ち、ブランドや商品メッセージを伝えるためのエンゲージメントを高める大きな武器となりえるのだ。