日本CAは4月7日、2017年度の日本市場における事業戦略説明会を開催。説明会には、4月1日に代表取締役社長に就任した反町浩一郎氏と会長のポール・フォルケンシュタイン氏が登壇した。

説明会では、反町新社長が「われわれは、デジタルトランスフォーメーションのベストサポーターとして、企画から開発、運用までを包括的にサポートできる唯一の独立系ソフトウェアベンダーである」と何度も強調していたことが印象的だった。

会長 ポール・フォルケンシュタイン氏

冒頭、代表取締役社長を2014年4月から2016年3月まで務めた新会長のポール氏が社長就任期間を振り返り、「この2年間で、『カスタマー&パートナー ビジネスの拡大』『顧客満足度の向上』『革新的なソリューションと活動』『タレントサクセス&グローバルネットワークの強化』の4分野に注力してきた。これらの施策により、顧客満足度27.3%向上という結果も出た。各社が抱えるデジタルトランスフォーメーションの課題に対して、アプローチできている結果ではないか」と述べた。

また、興味深い取り組み例として、同社が顧客企業向けに提供する「CA Mainframe Academy」というプログラムが紹介された。金融、製造、官公庁/自治体のシステムで稼働しているメインフレームに精通した技術者は高齢化が進んでおり、定年退職などで大幅な人数減が危惧されている。メインフレームを稼働させている企業にすれば、自社のシステムの保守/運用を行う技術者の育成は急務である。そんな問題を解決するため、同社は若手エンジニア向けにメインフレームに関する技術を伝承するワークショップを開催したそうだ。

FY15-FY16の2年間は、「顧客/パートナー企業」「顧客満足度」「ソリューション」「人材開発」の4分野に注力

フルケンシュタイン氏は会長となったわけだが、今後の日本CAでの同氏の役割は大きく2つある。まず1つは、反町氏のコーチング役として、在籍20年となるCA文化の伝授や助言に注力すること。もう1つは、反町氏と協力しながら、対外的なコミュニケーションを担当するという。反町氏の印象について聞かれると、「IT業界において、長年の実績と知識がある方。彼が持っている優れた価値観を高く評価している」とコメントした。今後は、会長としてパートナー企業とのリレーションシップ構築を目指す。

代表取締役社長 反町浩一郎氏

次に、社長に就任した反町浩一郎氏が登壇。同氏は、東京都出身の48歳。1990年に日産自動車に入社。その後、日本マイクロソフトの大手・中堅企業部門の業務執行役員や公共事業部門、経営企画部門、SAPジャパンのゼネラルビジネス事業部門のバイスプレジデント(VP)などを歴任している。2016年1月に日本CAに入社してから約3カ月経った所感や今後の展望を語った。

自分の経歴を振り返り、「私の強みは、日系と外資のどちらも在籍経験があること。さらに、担当した製品も幅広い経験があることだろう」と話した。「また、われわれは外資系であるが、日本法人として日本企業の成長に貢献できるのかを重要視している。日本のIT業界において、新しいテクノロジーは欧米などの数年後に入ってくるというジンクスがあるが、その辺りのタイムラグを減らし、日本企業の国際競争力向上の助力となりたい」と述べた。

入社後の3カ月で、反町氏は100社以上の顧客企業を訪問したという。「ヒアリングしてわかったことは、顧客企業がわれわれに何を依頼すればよいのか迷っていたこと。CAが持っている魅力的なソリューション群で、顧客企業の企画から開発、運用までをトータルにサポートできるマルチベンダーとして強みを生かし、積極的に提案していきたい」とし、2017年度の事業方針として「顧客とパートナー」「ソリューション」「人とカルチャー」の3軸を掲げた。

FY17の日本CA 事業方針

「顧客とパートナー」戦略では、同社が直接リーチしている顧客を金融/通信/自動車/サービスといった業種にフォーカスし、より密度の高いコミュニケーションで高品質のソリューションを提供していく。なお、それ以外の顧客に対しては、すべてパートナー企業と協業して販売を行う。また、パートナー企業に対しては、販売インセンティブモデルの見直しや、協同のテレセールス、技術トレーニングの提供など、一緒に営業アプローチを行う姿勢を示した。

「ソリューション」戦略では、「DevOps」「アジャイル管理」「セキュリティ」に注力していく。DevOpsやアジャイル管理といった手法を導入検討する企業に対し、導入事例を提供していきたいと話した。

顧客とパートナー戦略

ソリューション戦略

「人とカルチャー」にフォーカスした取り組みに対して、反町氏は「従業員と話すと『仕事が楽しい』という声が多く聞こえる。実際に生き生きと働いていているのが見てわかる。今後は外部機関を使って客観的に評価していきたい。また、他社のベストプラクティスを取り入れてさらに働きやすい環境にしていきたい」とコメントした。