Pivotalジャパンは3月24日、都内で2016年の事業戦略に加え、1月に運用を開始したアジャイル開発拠点の「Pivotal Labs東京」の説明会を行った。同社は2013年の発足以降、ソフトウェア開発の方法論・手法に加え、クラウドやデータの基盤技術を合わせて事業展開しており、現在はグローバルなエンタープライズ企業に対し、デジタルトランスフォーメーションを支援するプロジェクトを手がけている。

同社のソリューションは、デジタルトランスフォーメーションに必要なデータ分析ツール、クラウドネイティブなプラットフォーム、そして会見の肝でもあるPivotal Labs東京など世界17拠点で展開しているアジャイル開発だ。ビッグデータ、クラウド、アジャイル開発という事業の3本柱は設立以来、製品・機能の拡充に努めてきたという。

Pivotalジャパン カントリー・マネージャーの正井拓己氏

最初に、Pivotalジャパン カントリー・マネージャーの正井拓己氏が2015年における同社の振り返りとして「2013年7月に日本法人の設立以降は継続的な成長を続けている。売り上げの7割以上はアジャイル開発とクラウドで、近年はサブスクリプション・ビジネスに移行しており、日本市場でもデジタルトランスフォーメーションを順調に進めることができたと考えているほか、日本のビジネスパートナとの協業についても拡大している」と述べた。

また、個別の製品・事業領域についてはアジャイル開発ではPivotal Labs東京を開設し、すでに4つのプロジェクトを受注・実施。クラウド関連ではクラウドネイティブプラットフォーム「Pivotal Cloud Foundry」などの拡大により対前年比4倍の売り上げを確保し、ビッグデータビジネスでは統合パッケージの「Pivotal Big Data Suite」やHadoop関連製品が好調だったという。

一方、2016年の戦略分野について同氏は「今年は日本のデジタルトランスフォーメーション元年になるのではないかと考えており、日本市場で機運が高まっている。そのような中、Pivotal Labs東京を開設したのはタイミングに恵まれている。われわれはソフトウェアの開発手法から人材育成、アナリティクス、アプリケーション展開に必要なプラットフォームを提供していくベンダーとして、日本の顧客のデジタルトランスフォーメーションを支援する」と強調した。

そのうえで「インダストリーではIoTを進める製造・通信の顧客や、データ分析、アプリケーション開発で積極的にプロジェクトを進める運輸・小売業の顧客案件にプロジェクトの強さを感じている。さらに、ソリューションの領域ではグローバルでの経験を基にFinTech、コネクティッドカーなどの先進事例を作り上げたい。国内パートナーとの連携に関してはアクセンチュアやインテック、NTTデータ、CTC、TIS、東京エレクトロンデバイスといった企業とパートナーシップ、協業、連携することで日本の顧客に対し、デジタルトランスフォーメーションを提案していく」と正井氏は決意を語った。

ディレクターが語るPivotal Labs東京とは?

続いて、Pivotal Labs東京 ディレクターのダニー・バークス氏が登壇し「われわれのミッションは顧客企業のソフトウェア開発を変革させることだ。Pivotal Labsでは3~5カ月の期間、顧客と一緒に6~10人のチームを構成し、ソフトウェア開発のプロジェクトに取り組み、われわれのメソドロジー(方法論)を教えつつ、最終的に高い機能性を持つチームを構成していく」とラボの概要について説明した。

Pivotal Labs東京 ディレクターのダニー・バークス氏

同氏は「ガートナーの調査では、2020年までに75%の企業がアプリケーション開発を社内で行うという結果が示されている。デジタル企業であるならばソフトウェアが中心的な能力になり、過去20年はアウトソーシングが主流だったが企業はこの状況を打開しなければならないためPivotal Labs東京を開設した。ソフトウェア開発は自社で行うことが望ましい状況に変わりつつある」と企業におけるソフトウェア開発の重要性を指摘。

ラボにおけるソフトウェア開発のトレーニングについて同氏は「トレーニングはペアで行い、顧客の開発者はわれわれの開発者、顧客のプロダクトデザイナーはわれわれのプロダクトデザイナーというようにフェイス・トゥ・フェイスでソフトウェア開発を行う。ソフトウェア開発のすべてのステップにおいて顧客は次第に能力を高めていき、ソフトウェア主導のビジネスが行える人材を育成する」と述べた。

ラボは月曜日~金曜日の9~18時までを勤務時間とし、18時以降・週末は勤務をすることはない。毎朝8時30分から顧客とラボのスタッフが一緒に朝食をとり、朝食後はメンバー全員で円陣を作り、立ちながら5~10分程度のミーティングを行い、ほかのチームに支援を依頼したり、面白い発見を紹介したりするという。

朝食などのためにキッチンを併設

プロジェクトルーム

営業およびフィールドエンジニアルームでは自社製品の顧客サポート

息抜きのためか卓球台が設置されている(奥は会議室)

最後にバークス氏は「プロジェクト期間中はミーティングは限定的であり、可能な限りプロジェクトに関わる時間に割いている。われわれのメソッドは顧客とフェイス・トゥ・フェイスで協業しつつ、集中したプロジェクトを行うことだ。人員は当初5人でスタートしたが、現在は14人、2016年末までに25人を予定し、最終的にはサンフランシスコと同等の100人への増員を目指す」とラボの今後に期待を寄せた。