トイレ掃除は憂鬱だ。こまめに清掃した方がいいとわかってはいても、つい放置してしまう。そして年に1度の大掃除の日に便器の前で絶望。ブラシでこすっても取れない謎の汚れに悪戦苦闘する……といった思い出がある人もいるのではないだろうか。そんな悩みから開放してくれるかもしれないトイレが、このたびLIXIL(リクシル)から発表された。

もうトイレ掃除に悩まなくていい?

「汚れやニオイからの開放」を目指したトイレ

LIXIL執行役員でLIXIL Water Technology Japanトイレ・洗面事業部長の川越啓次氏

このほど都内で行われた発表会では、同社執行役員でLIXIL Water Technology Japanトイレ・洗面事業部長の川越啓次氏が登壇。「『暗い』『汚い』『臭い』という"3K"のイメージがあったトイレを日の当たるところに出したい、ということが、当社が抱き続けてきた思い。今回発表するトイレは、『汚れやニオイからの開放』を狙った革新的な商品となる」と新商品について説明した。

今回発表されたのは、同社が展開するトイレブランド「SATIS」の5代目となる商品。「満足(SATISFACTION)」にその名が由来する「SATIS」は、「トイレを『応接間』にする」というコンセプトのもと、2001年に展開を開始したシリーズだ。

今回は、「上品」「ゆったり」をコンセプトとしたGタイプ(本体価格35万3,160円~)と、「シンプル」「コンパクト」を追求したSタイプ(本体価格26万3,520円~)の2種類が4月1日から販売される。Gタイプでは「ノーブルブラック」のカラーも展開。なお、両タイプともタンクレスとなる。

「上品」「ゆったり」をコンセプトとしたGタイプ

「シンプル」「コンパクト」を追求したSタイプ

Gタイプではシックな「ノーブルブラック」も

新陶器で"4つの汚れ"全てに対応

さっそく、新「SATIS」の機能面を見ていこう。汚れ・ニオイ対策として、同商品には主に5つの機能が搭載されている。「アクアセラミック」「パワーストリーム洗浄」「エアシールド脱臭」「泡クッション」「ルームリフレ」だ。中でも、注目すべきは「アクアセラミック」の導入だろう。

「アクアセラミック」は、同社が新たに開発した衛生陶器。表面は水になじみやすい"超親水性"の性質を持ち、付着した汚れの下に水を入り込ませることで汚れを浮き上がらせる。「陶器表面に書いた油性インクも、その上にスポイトの水滴を垂らすだけで、陶器から浮かび上がるほど」とは同社の言だが、青く着色した油を使ったデモンストレーションでは、水につけた瞬間に油がみるみる剥がれ落ちていく様子を観察できた。

従来の衛生陶器と比較したデモンストレーションの様子。「アクアセラミック」(左)では、付着した油がみるみる剥がれていく!

また、従来の衛生陶器では防ぎにくかった水アカ汚れも防ぐことができる。水アカは洗浄水に含まれるミネラル分が陶器表面に残留したもので、こすっても取れにくい"便器の黒ずみ"の原因にもなる。アクアセラミックでは、水アカ成分と陶器表面との化学結合を防ぐ構造設計とすることで、水アカの固着を防ぐことに成功した。

従来の性能である「キズ汚れ」「細菌汚れ」の防止に加え、郡を抜いた「汚物」の洗浄性能と、従来の衛生陶器にはなかった「水アカ汚れ」の固着防止機能も持つ「アクアセラミック」。トイレの"4つの汚れ"全てに対応する陶器は、2016年3月15日時点で世界初とのことだ。

水流もグレードアップ

素材面だけでなく、洗浄水も強化されている。新「SATIS」では、業界初となる3つの吐水口を設けた「パワーストリーム洗浄」を採用。「汚物やペーパーを洗い流す水流」「陶器の急カーブで弱まる水流をフォローする水流」「鉢面全体を洗浄する水流」の3種類の水流で洗浄する。

各水流の吐水量・勢い・タイミングに加え、陶器の最適な形状も1,000回以上の試行錯誤を経て設計されたという。従来品より洗浄力を格段に上昇させながらも、使用する水は1回につき約4Lと同社製品の中では最小水量。節水性も高いのが特長だ。

異なる3つの水流で洗浄

着色した油を使ったデモンストレーション。少ない水で、無駄なく洗浄する工夫が施されている

立って用を足しても跳ねない!

汚れだけでなく、ニオイ対策にも新技術が使われている。「エアシールド脱臭」は陶器の鉢内で気流を循環させることで、便器内のニオイの流出を防ぐ機能だ。これにより、ニオイ漏れを従来比で約43%シャットアウトするという。

また、男性の立ち小用時に発生しがちな尿跳ねを防ぐ「泡クッション」機能も、Gタイプ限定で新搭載。泡のクッションで尿を受け止めることで、便器外への尿の飛び跳ねを約92%抑制する。壁や床に跳ねた尿はトイレ全体のニオイに影響を及ぼすため、尿跳ねを未然に防げるのはうれしい。また、便座を上げると自動で「泡クッション」が作られるのも助かる機能だ。

「泡クッション」のデモンストレーションの様子。右が「泡クッション」使用時。水の跳ね方が明らかに違う

なお、「泡クッション」の使用に際しては、約3カ月に1回の洗剤の補充が必要。補充作業は、手動で簡単に可能とのことだ。同機能に適した洗剤は、台所用の中性洗剤となる。

さらに同商品には、シャープの「プラズマクラスター」技術を採用。水のかからない便器裏やノズルまわりなども除菌し、ニオイを抑制する。また、作動時にLEDが点灯する機能や、設定時間に自動で便フタが開いてトイレ空間全体のニオイも消臭する「ルームリフレ」機能も新たに搭載した。

「プラズマクラスター」作動時はLEDが点灯。消臭中かどうかがわかりやすい

ほかにも、ノズルから出る水滴の大きさ・速さをコントロールする新たな「おしり洗浄」機能や、スマートフォンをリモコンとして使える機能、リラクゼーション音楽が流れる機能なども搭載。"快適なトイレ"をとことん追求した新「SATIS」は、つらいトイレ掃除に変革をもたらす存在となるかもしれない。