iPad Proに弟分登場

iPadについては、既存の12.9インチモデルに加えて、初代iPadと同じ9.7インチ液晶を搭載したモデルが登場した。9.7インチモデルは液晶のサイズと解像度こそ12.9インチモデルと比べると低いが、その他のスペックはほぼ12.9インチモデルを踏襲しており、Apple PencilやSmart Keyboardといった周辺機器も利用可能。LTE通信がLTE-Advanced対応し、カメラについては12.9インチの800万画素から1,200万画素へと、むしろパワーアップしている面もある。iPad Proの2機種はいずれもストレージ容量256GBモデルが新たに追加されており、大容量の動画なども扱いやすくなった。

12.9インチのiPad Proはパワーも画面の見易さも申し分ないのだが、いかんせんサイズが大きすぎて、持ち歩くにはそれなりに覚悟が必要だ。iPad Air 2とキャラクターが被るとはいえ、9.7インチというサイズ感はちょうどいいと感じるユーザーも多いだろう。Apple Pencil対応なども含め、現モデル以上に注目を集めそうだ。

2サイズ構成となったiPad Pro

価格は32GBのWi-Fiモデルが66,800円、128GBが84,800円、256GBが102,800円。セルラーモデルは32GBが84,800円、128GBが100,800円、256GBが118,800円。カラーはiPhone SEと同じ4色構成。処理性能もタブレット随一だが、価格帯もノートパソコンと重なっており、利用するアプリや仕事のスタイルによってはどちらを選ぶかが悩ましそうだ。iPhoneと同じく、3月24日予約開始、31日発売だ。

iPadシリーズはこれでiPad mini 2、mini 4、Air 2、Pro(9.7)、Pro(12.9)と5モデルにもラインナップが広がっており、iPhoneと同じくラインナップが広がりすぎている感がある。特にiPadはここしばらく売り上げが右肩下がりという状況が続いており、ラインナップ中の機種の性格が被ることで、余計に決め手を見つけにくくなってはいないだろうか。ユーザーはどの機種を選べばいいのか、もう少しわかりやすく絞り込んでくれてもいいように思う。

凝縮された1時間

昨今スペシャルイベントは2時間近く開催されることが多かったが、今回のイベントはほぼ1時間で終了した。リーク通りだったとはいえ、主力製品であるiPhoneの新機種をはじめ2カテゴリーで新機種が登場し、Apple WatchやApple TVのアップデートもあるなど、かなり盛りだくさんな1時間だった。冒頭に書いたように現本社での最後の発表会ということもあって、気合が入っていたのかもしれない。iPhone 6sシリーズの売り上げが予想を下回り、iPadも不振が続くなど、Appleをめぐる環境はやや厳しくなってきているが、今回はそのような懸念を吹き飛ばすような手堅いラインナップの拡充となった。

ひとつ気になったのが、これまでAppleの新製品発表は秋(9~10月)に集中していたが、今日登場したモデルについてはこのまま春にモデルチェンジが来るようになるのか、ということだ。iOS機器はOSのアップデートに合わせて新機種が来るという事情もあるため、iPhone SEや9.7インチiPad Proのように人気を集めそうな機種が半年ずれるというのはどうも不自然だ。もしかすると秋にはまたラインナップの再編成があるのかもしれない。