【レポート】

賃貸住宅で賢く暮らすには?

佐藤章子  [2016/03/19]

賃貸だからこそ自由に選べる安全な町

新しく土地から購入する場合は別として、自宅が古くなって新しくしたい場合などは、簡単には住み替えができないでしょう。しかし賃貸であれば、気軽に安全な土地に住み替えができます。

犯罪が少ない地域、地震や津波、洪水などの自然災害のリスクが少ない地域、スモッグなどの社会的災害が少ない土地など、自由に選べます。住み替える時は地域だけでなく、敷地の地盤や崖や河川の近くかどうかなどの敷地や周辺の状況のチェックも大切です。

また建物の耐震性能や防火性能も確認しましょう。日本は地震国で、何時どこに大規模地震が起きても不思議ではないと言われています。耐震性能のない古いアパートは賃料が安いかもしれませんが、少なくとも子供を育てる場としては不向きといわざるを得ません。

将来の計画によって異なる住みたい地域

現在賃貸住宅に住んでいる場合でも、「一生賃貸生活としたい」「いずれは住まいを手に入れたい」「現役時代は賃貸で、老後は田舎の実家で暮らす予定」など将来計画はさまざまでしょう。

もし、いずれは住まいを手に入れたいと思っている場合は、それを前提として将来住みたい地域にある賃貸物件を選ぶと、早くから地元への愛着が生まれますし、子供がいる場合は転校等も避けられます。また自治体はさまざまな支援制度を設けています。支援を得たいサービスがあるかどうかを長期的に考えたいものです。

子供に故郷という基盤を与えるのは親の責任

親たちは生涯賃貸生活で、その時々に住みたいと思ったところに住み替えればよいと考えているかもしれませんが、子供には故郷が必要です。特に近所で「遊びましょう!」という関係が成立する子供時代を過ごした地域は特別なものがあります。

私の両親は都会育ちで大学入学時に上京し、そのまま東京に暮らしてきました。元の拠点は終戦とともに消滅しましたので、私には田舎がありません。父は転勤が多く、住まいも社宅を転々とし、両親が自宅を建てたすぐ後に社会人となり独立したので、実家にもあまり思い入れはなく、結局故郷らしきものはありません。現在の住まいに30年以上生活していますが、それでも中学から大学時代の一時期を過ごした地域が今でも懐かしくしっくりきます。

賃貸・持ち家にかかわらず、親は子供に故郷と言える場所を確保することも考える必要があります。有川浩さんの小説『三匹のおっさん』の世界は実にうらやましいと感じます。悪ガキ三人組が定年を過ぎて再び時間にゆとりが持てる時期になった時に、そのまま悪爺三人組になれるのは、なんと幸せなことかと思います。

借家人と賠償責任 - 意外に知らない! 賃貸でも火災保険が必要

賃貸住宅に住んでいて、火災を発生させてしまった場合はどうなるでしょうか。自室ばかりでなく隣室・隣家まで類焼させてしまった場合はどうなるでしょうか。持ち家・賃貸にかかわらず、重大な過失がない限り、隣家・隣室等の第三者に対しては、責任を負わなくても良いことになっています。もともと木造家屋が密集していた日本では、いったん火災が発生すれば、どこまでも燃え広がってしまい、補償のしようがないからです。

しかし大家さんに対しては損害を賠償しなければなりません。たとえ大家さんが火災保険を掛けていても損害賠償責任は発生します。責任は保証人にも及びますので、このリスクを回避するには借家人賠償責任保険に加入するしかありません。

借家人賠償責任保険は単独では存在しませんので、自分の家財に火災保険を掛けて、それの特約として加入することになります。隣人が引き起こした火災で自宅の家財が燃えても補償されませんので、家財の火災保険は大切です。地震が原因の火災にも対応させるためには地震保険にも加入する必要があります。住まいを借りたら家財保険、借家人賠償責任保険、個人賠償責任保険の加入は必須です。

注目されつつある新たな賃貸スタイル

老朽化したり、設備等が現在のニーズに合わずに空室が多くなったりしているアパートの中には、リフォーム自由、現状復帰不要ばかりでなく、家賃に対しても優遇措置がある物件が注目されています。

借り手は購入価格として高い金額の投資を必要とせず、リフォーム費用だけで思い通りの住まいに住めるだけでなく、一定期間家賃も免除されることもあるようで、メリットは少なからずあります。また家主から見れば、ニーズに合わなくなり借り手のいないアパートを費用負担なしで今風にリフォームしてもらえるので、これまたメリットが大きく、双方のニーズが合致しています。

あまりとっぴなリフォームはできないかもしれませんが、長く住める地域・物件だと判断したところであれば、こんな物件を探してみるのも良いでしょう。ただし、特に旧耐震性能基準の古い物件の場合は、地震が起きれば投資した金額が戻らないリスクもあります。

またルームシェアしたり、シェアハウスに入居したりと、ふれあいを楽しむスタイルも注目されています。単身の間は住居費や家電製品・光熱費等を節約にもなりますので、低成長時代にもかかわらず贅沢に慣れている生活スタイルを改善することもできます。コレクティブハウスのように各住戸はキッチン・バス・トイレなどの通常の機能を備えていても、別途共同のキッチンや食堂があり、交代でご飯を作りながら、ともに暮らす楽しさも味わえるスタイルも増えつつあります。

<著者プロフィール>

佐藤 章子

一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。

※画像は本文とは関係ありません

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