熱伝導率が非常に高い鉄の中華鍋。家庭で中国料理をつくる上でも、やはり便利な調理グッズだ。今回は、中国料理の中でも特に人気の高い麻婆豆腐のつくり方をテレビや書籍などで大活躍中の四川料理店「ピャオシャン」井桁良樹シェフに教えていただく。

重い中華鍋ということで、お父さん、出番ですよ! 井桁シェフが「究極の麻婆豆腐」と名づけたこのレシピで、家族を驚かせてみよう。

プロならではの技とは

挽肉に水を入れてもみ込んでから炒めるのがコツ

井桁シェフによると、ポイント1つ目は豆腐の下茹で。下茹ですることで、「煮崩れしにくくほどよい食感に仕上がる」とのことだった。専門店では麻婆豆腐に葉ニンニクを使うが、入手しにくいので今回はニンニクの芽で代用。

そして、挽肉の調理法にもポイントがある。プロは挽肉を揚げるように炒めてパラパラ、カリカリに仕上げ、豆腐との食感の違いを楽しませる。家庭では挽肉に水を加えてもみ込んでから炒めると、団子状にならずにパラパラとそぼろ状に仕上げることができる。また最後に強火で一気に加熱すると、食材の中の油が分離し、液体部分が二層になる。一見脂っこそうに見えるが、食べるとさらっとしていて軽い味わいになる。

プロならではのアドバイスを頂いたところで、早速つくり方を紹介しよう。

究極の麻婆豆腐

豆腐が崩れず、挽肉も団子にならず。究極の麻婆豆腐の完成だ!

材料(2~3人分)

木綿豆腐 300g / 牛挽肉 50g / 生姜みじん切り 小さじ1/2 / ニンニクみじん切り 小さじ1/2 / ニンニクの芽 30g / 長ネギみじん切り 大さじ2

油 大さじ2 / 豆板醤 大さじ1 / 豆鼓 大さじ1 / 甜麺醤 小さじ1/2 / 鶏ガラスープ 150ml / 紹興酒 小さじ2 / 醤油 小さじ1/3 / 塩 少々 / 水溶き片栗粉(水と片栗粉同割り) 小さじ2 / 花椒 適量

つくり方

1.木綿豆腐は、1.5㎝角に切り、塩少々(分量外)を加えた湯でさっと下茹でし、水を切る。

2.牛挽肉に少量の水を加え、軽くもむ。

3.中華鍋を火にかけて油をなじませ、2の牛挽肉を弱火で炒める。水分がなくなりカリカリになるまで炒めたら、みじん切りの生姜、油少々(分量外)を加えてさらに炒める。パチパチと挽肉が跳ねるようになってきたら、豆板醤、ニンニクみじん切り、豆鼓を加え、強火で炒める。

4.香りが出てきたら、甜麺醤、鶏ガラスープ、1の木綿豆腐を加えて軽く煮込む。紹興酒、醤油、塩で調味する。斜めにスライスしたニンニクの芽、長ネギみじん切りを加え、水溶き片栗粉でとろみを付ける。最後に油が分離するまで強火で加熱する。

5.4を器に盛り付け、花椒をかける。

著者プロフィール

「老四川 飄香」オーナーシェフ・井桁良樹さん
2005年4月に東京・代々木上原に「老四川 飄香」を出店。中国での修業経験を生かしつつ、独自のアレンジを加えた本格四川料理が評判となり、連日予約で席が埋まる人気店に。現在は本店を東京・麻布十番に移し、東京・銀座に「銀座三越店」も展開。店名は、"OLD四川が漂い香る"という店のコンセプトから付けた。日本人向けに、直接的ではなく香りで辛さを感じるような独自の工夫を行なっている。

撮影: キミヒロ