【インタビュー】

市原隼人がドラマ『双葉荘の友人』に主演「この組ならではの自分がいる」

 

『極道大戦争』(2015年)のようなぶっ飛んだ快作から、『ホテルコパン』(2015年)や『星ガ丘ワンダーランド』(公開中)などの繊細なアート系作品まで、幅広い役どころにチャレンジし、ますます役柄の守備範囲を精力的に広げている市原隼人。WOWOW「ドラマW」枠の「双葉荘の友人」(3月19日21:00~)では、久しぶりに肩肘張らない自然体の青年役を好演した。

市原隼人

とはいえ、第8回WOWOWシナリオ大賞受賞作だけあり、ストーリーは一筋縄ではいかないロマンティックミステリーとなっている。市原演じる舞台監督の川村正治が、妻(臼田あさ美)と引っ越してきたテラスハウス「双葉荘」で、26年前に同じ部屋に住んでいたという倉田誠司(中村倫也)という画家の幻影と交流していく。これが受賞者・川崎クニハルの体験談がベースになった物語という点にもビックリだ。

監督は、山田洋次監督作の助監督を経て、『ひまわりと子犬の7日間』(12)で監督デビューした平松恵美子。撮影中の市原にインタビューし、監督の演出にゆだねたという現場の撮影秘話を語ってもらった。

――平松組の雰囲気はどんな感じですか?

すごく温かくて、やさしい風がずっと流れています。家族のような雰囲気で撮っていて、とても気持ちが良い空気感にのれている気がします。

今回は、監督のおっしゃることを全部受け入れてやっているので、すごく新鮮ですし、この組ならではの自分がいるんじゃないかなと思います。平松監督はニュアンスや空気感より、言葉でストレートに伝える手段を取ったりする方です。それは、今までにあまりなかったアプローチの仕方なので、すごく新鮮です。

――実話ベースの物語だと聞いて驚きました。

僕もそれを聞いた時、すごいなと鳥肌が立ちました。実は、本当に脚本家の方が体験した家でドラマを撮ろうとしたんですが、もう壊されちゃっていたそうです。そこで撮っていたら、知らない誰かが映っていたのかもしれないですね。

――市原さんは、霊感などはあるんですか?

小さい時にした経験はいろいろとあるのですが、それは自分の中で留めておきます。でも、何なのでしょうね。相手が何かを伝えたくて、自分の前に現れるのか、(演じた)正治側からも何かを見ようとするのか?今回は両方だと思うんです。何かお互いの気持が通じた上で現れたのではないかとも思います。

――演じた正治役についてどう思いましたか?

正治は、うだつが上がらないというか、将来の向く方向が決められず、32歳にして決まった仕事につけず、妻に金銭的にも内面的にも頼っているという、本当にどうしようもない男です。でも、誰しもがそういう時間はあるだろうし、そういう意味で共感しやすい気がします。そんな人間がファンタジー的な体験をして、自分や周りの人々と向き合うきっかけをもらい、気持ちに変化が表れるという話です。

――妻役の臼田さんの印象はいかがでしたか?

ずっと前から知っていたんじゃないかというくらい、一緒にいてすごくいやすい方でした。思いやりがあり、周りの方に気配りをする方で、今回ご一緒できて良かったなと思いました。

最初の方で「トースト焼こうか?」という台詞とかがあります。夫婦役は少しだけ以前にやったことがあるんですけど、ちゃんと生活している感じの役は初めてだったので、新鮮でした。

――倉田誠司役の中村倫也さんとは、『星ガ丘ワンダーランド』でも共演したばかりでしたね。

トモ(中村倫也)自体もすごく自然体で現場にいてくれる方なので、いつも柔らかい空気が流れていました。今回の役では、言葉が話せない分、妙な間があったり、相手の目の奥を見て話そうとしたりしてやりとりする様がとても印象的でした。

――WOWOWのドラマならではの魅力ってありますか?

スタッフさんも職人的な方が多い気がします。地上波よりもやっぱり、一歩踏み込んだ作品が多いので、必然的に面白くなりますよね。これだけ注目されるのもわかります。

特に最近はいろいろな規制が増えてきて、できないことがどんどん増えていくし、作品もどんどん商業的になっていく。枠の中で決められていくことが多いのですが、僕は何か爆発するようなものに出会いたいといつも思っています。それは感情なのか、外見的に体で見せるものか、ストーリーや映像の美しさで見せるものなのかはわからないのですが。

――市原さんが出演作の決め手にしているものは何でしょうか?

作品選びなんて、たいそうな考え方はできない人間ですから、ご縁です。やらせていただける場があるのなら、その場を精一杯感謝しながら、自分のするべき仕事をこなせればと思っています。毎日がご縁です。

――2016年の目標も聞かせてください。

常に通過点でいたいです。自分が墓に入ってから、あの人はこういう人だったと思われるように、1年1年を通過点にしていきたいです。いろんな役をやりたいし、天邪鬼なので、僕自身は今日の答えと、明日聞かれて返した答えが違う人間でいたいと思います。人間くさくいられたら、役者でい続けられるのかなと思いつつ、与えられた現場に感謝しながら、しっかりと過ごしていきたいと思っています。

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