【レポート】

賃貸物件における「経年劣化」の範囲はどこまで? - 弁護士に聞いてみた

1 そもそも、敷金・礼金・更新料ってなに?

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もうすぐ4月、新天地での生活をスタートさせる人も多いのではないでしょうか。賃貸住まいの人が引っ越しするときに気になるのが「敷金」「礼金」「更新料」「ハウスクリーニング代」など、家に関するマネーのお話。法律ではどのように定められているのか弁護士に聞きました。

そもそも、敷金・礼金・更新料ってなに?

「敷金」とは、不動産を目的とする賃貸借契約で、入居者が大家に預け入れるお金です。物件の明け渡し完了までに入居者(賃借人)が大家(賃貸人)に対して負う「賃貸借契約による一切の債務」を担保するためのもので、名前のいかんを問いません。退去時に、賃借人の滞納家賃や原状回復費用、損害賠償額などを差し引き、残額があれば返還がされます。

「礼金」とは、権利金等とも呼ばれますが、入居者と大家との合意により、賃貸借契約に際して、謝礼などの意味合いで払う一時金で、原則として、契約が満了しても返還されないお金をいいます。

これに対し、「更新料」は、賃貸借契約の期間が満了後、契約を更新する際に払うお金です。首都圏や関西圏の一部の地域等で古くから慣習として払われているようです。地域や慣習にもよりますが、例えば、2年契約の賃貸借契約の場合、2年ごとの更新のたびに更新料を払うと定められていることがあります。

契約書の特約に「ハウスクリーニング代は入居者負担」とある場合

退去時に入居者は物件の原状回復義務を負いますが、これは借りた当時の状態に戻すことではありません。通常の使用を超える使用や、入居者の故意・過失、契約義務違反等で発生したものが入居者負担です。しかし、通常の使用によって発生した損耗や経年劣化で生じたものは原状回復には含まれず、大家負担とされるのが原則です。

退去時のハウスクリーニングは、多くは次の入居者確保の目的、つまり大家都合で設けられていることが多いものです。入居者がふだんや退去時に通常の清掃をしていて、物件に故意・過失による損耗や劣化がないのなら、通常損耗・経年劣化のクリーニングとして大家負担が原則と考えられます。

したがって、このような特約があっても、契約時に具体的かつ明確な説明があり、入居者も理解・納得の上で結んだ特約ではない場合や、暴利的(正常な程度を越えた不当な利益)などといった消費者の利益を一方的に害する内容といえる場合、特約自体が無効になる可能性が高いです。

退去時のトラブルでも多いのは敷金の返還

借主は、賃貸借契約に基づき、貸主に対して善良な管理者の注意を払って目的物を保管する義務を負い、これを怠ると賠償をしなければなりません。また、賃貸借契約の終了時には、物件の原状回復をして、物件を明け渡さなければなりません。もし、借主がこれを怠ったときは、これらの費用や賠償額、未払い賃料などは敷金から差し引かれて精算されます。

とはいっても、原状回復=借りた当時の状態にそっくりそのままに戻すことではありません。

賃貸物件を使うのは当然ですから、退去時には、入居時と比較すれば物件の損耗・劣化は当然発生するもので、それは賃料等によってもともとカバーされるべきと考えられます。したがって、原状回復に含むのは、通常の使用で発生した損耗・経年劣化とはいえないものや、借主のミスで発生した毀損などとなるのです。

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目次
(1) そもそも、敷金・礼金・更新料ってなに?
(2) ハウスクリーニング費は誰が負担するべき?

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