好きな相手からの性的暴力は気づきにくい?

では、相手からセックスを強要される、避妊してくれないなどの性的なデートDVの被害に遭ってしまったら、どうすればいいのでしょうか。

まずは、被害を受けている本人が気づくことが大切。実は、好きな相手からの性的暴力に気づかなかったり、目をつぶってしまったりする女性も多いのです。特にセックスのときに「避妊しない」という行為は、乱暴さや痛みを伴わないことも多く、DVだと気づきにくい傾向があります。しかし、望まない妊娠をした場合の女性側のリスクを考えれば、身勝手な行為だと分かるはずです。

相手から性的暴力を受けていると気づいたあと、すぐに距離を置ければよいですが、別れようとしてもつきまとわれたり、余計に暴力が悪化したりすることもあります。その場合は、友達や家族、公的機関に相談して助けを求めましょう。

望まないセックスと妊娠を避けるために

女性がこうしたリスクを負わないためには、望まないセックス、そして無防備なセックスを避けることが重要です。しかし、もしもの場合に備えるためには、女性主体の避妊法を選択する必要もあるかもしれません。

まず望まない妊娠を避けるには、低用量ピルの服用や、IUS(子宮内避妊システム)を使用して避妊することをおすすめします。IUSは、子宮内で黄体ホルモンを放出し、受精卵の子宮内膜への着床を妨げるシステムです。これらの避妊率は100%に近く、女性側が主導権を握ることができる安全で確実な避妊法と言えます。ただしSTDを防ぐには、コンドームとの併用が必要です。

また、避妊しないでセックスを強要されてしまった場合には、72時間以内にモーニングアフターピル(緊急避妊薬)を服用して避妊するという緊急手段もあります。避妊率100%ではありませんが、医師の指示に従って正しく服用すれば、高い避妊効果が見込めます。しかし、モーニングアフターピルは高価であり、吐き気などの副作用もあるため、慎重に扱う必要があります。また、事前に避妊できていなかった場合のデートDV被害に対して特別に使用するためのもので、軽々しく使用すべきではありません。

なお、低用量ピルとモーニングアフターピルは、ともに体調や既往歴によっては使えない場合もあります。服用を希望する人は、婦人科、産婦人科などの医師に相談した上で処方を受けてください。

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記事監修: 善方裕美 医師

日本産婦人科学会専門医、日本女性医学会専門医
1993年高知医科大学を卒業。神奈川県横浜市港北区小机にて「よしかた産婦人科・副院長」を務める。また、横浜市立大学産婦人科にて、女性健康外来、成人病予防外来も担当。自身も3人の子どもを持つ現役のワーキング・ママでもある。

主な著書・監修書籍
『マタニティ&ベビーピラティス―ママになってもエクササイズ!(小学館)』
『だって更年期なんだもーん―なんだ、そうだったの?この不調(主婦の友社)』
『0~6歳 はじめての女の子の育児(ナツメ社)』など