Photo07:ちなみにユーザーとしてAndroidは今ではやや少数派との話。ただ今回のシステムはまさしくその少数派のAndroidベースである。最適化周りの話は、JapanTaxiのセッションの中で具体的な内容が示された。

さてここからはVIAのソリューションの話である。元々同社はCentaur Technology(x86)とWonderMedia(ARM)という2つのSoCメーカーを抱えており、最近はNXPのi.MX6シリーズも採用する形でラインナップを増やしているが、やはりSoCメーカーを抱えているというのはカーネルやドライバを扱う点で有利であり、この利点を生かした形でLinux/AndroidのBSPや、その上で様々なToolkit、あるいは最適化といったサービスを提供できるとしている(Photo07)。今回同社が発表したのは、AMOS-825という車両向けシステムである(Photo08,09)。車載向けということで本体と7inchタッチパネル付き液晶がセットになった形のモデルであり、更にWireless/BTや、将来的には3G/LTEの対応も可能としている。このモデルは現状ではJapanTaxi向け製品ということになるが、これとは別に同社は航空機やバス向けのエンターテイメントシステム、あるいは車両の運行管理システムなども既にソリューションとして提供しており、こうしたソリューションの経験が生かされた形になっている(Photo10)。今回はJapan Taxiとの協業で、これを生かす事ができたとした(Photo11)。

Photo08:元になったのは同社のAMOS-820という自動車向けというよりは産業向けという位置付けの製品だが、性能向上以外にJapanTaxiの要望をうけて幾つか特殊な仕様も追加されたモデルである。ただ他社に販売する場合は、このあたりも変わってくるものと思われる。

Photo09:AMOS-825システム一式。液晶が7inchサイズということからも全体の大きさが推察できる。

Photo10:バス向けのBLISSAirTalk、列車向けのWi-Fi Expres車両管理システムなどが既に存在する。

Photo11:日本交通のタクシーにはこのAMOS-825ベースのシステムが搭載される事になる。

Photo12:VIA EmbeddedのProduct Manager兼VIA Technologies Japanエンベデッド事業部プロダクトマネージャのCody世羅氏。

次に、そのAMOS-825の特徴をVIA Technology JapanのCody世羅氏(Photo12)が簡単に説明された。今回のシステムは、JapanTaxiの提供するIP配車システムとカーナビ、更にメーターやサイン、プリンタ/決済機などをまとめて接続できるだけの性能を、車載環境で利用できる様にしたものである(Photo13)。システムはPhoto14の様に必要なI/Fを全て搭載したファンレス構造である。ちなみにプロセッサはNXPのi.MX6Quad(1GHz)で、メモリは1GB、Storageは16GB(eMMC)が搭載されている。またGPSとWi-Fi/BTが利用可能で、将来は3G/LTEも搭載する事を考えているとの事。周辺機器(プリンタやサインなど)はUSB接続の形となっている(Photo14)。USBポートが全てロック可能、というあたりは振動の多い車載向けを考慮したとの事だった。

Photo13:温度範囲と電源管理については後述

Photo14:モニターの方が-20℃~70℃と温度範囲が広いのは、直射日光があたって温度が上がりやすい事を考慮しての事。マイク性能やスピーカ出力、音量ボタンの位置などは全てJapanTaxiの要望にあわせて、運転手の使いやすさを考慮した配置との事。