583系「超会議号」、どこから武蔵野線・京葉線に入るか?

東海道本線を経由した場合、その東海道本線と京葉線の線路がつながっていれば話は簡単だが、そうは問屋が卸さない。東京駅の構造でおわかりの通り、東海道本線と京葉線はつながっていない。東海道本線には貨物線があるが、そちらも同様である。東京湾岸、東海道新幹線の大井車両基地に隣接する東京貨物ターミナルまでは行けるが、そこから京葉線方面には線路がつながっていない。

583系「超会議号」の運行が予想されるルートの配線略図

京葉線が営業用の線路で他線とつながっている場所は複数あり、蘇我駅で内房線・外房線と、二俣新町駅付近の三角線で武蔵野線と、それぞれ行き来できる(営業用の線路でなければ、八丁堀~潮見間で旧・東京レールセンターに通じる線路があるが、まさかこれは使わないだろう。そもそもここの分岐は、保守車両用の乗越分岐器だ)。

わざわざ千葉駅の先の蘇我駅まで行って逆戻りするルートは、趣味的には面白いが現実的には避けたいと思われる。それに東海道本線から総武本線に入るルートも問題になる。そうなると、武蔵野線経由で京葉線に入るほうが現実的な選択肢だ。

じつは、武蔵野線から京葉線につながるルートは東北方面から東京ディズニーリゾートへ向かう団体臨時列車「わくわくドリーム号」が使用している。そしてこれこそ、秋田車両センターの583系がおもな仕事のひとつとしている列車である。

「わくわくドリーム号」は羽越本線・信越本線・上越線・高崎線を経由し、大宮駅から先は大宮支線・武蔵野線・京葉線というルートを通って舞浜駅まで来る。ただし、舞浜駅では折返しができないので、いったん東京駅まで回送してから折り返して、同じルートで大宮車両センターに回送・入庫させている。帰りは逆ルートだ。

これならすでに実績があるルートだから、武蔵野線から先は「超会議号」にも応用できる。日本海側を通ってきた場合も同様で、大宮駅から大宮支線に入れれば、あとは同じだ。ただ、目的地は海浜幕張駅だから、西船橋駅から先で向かう方向が変わるが。

では、東海道本線を経由するとした場合、583系「超会議号」をどこから武蔵野線に入れるか? 考えられるルートはいくつかある。

予想ルート1

(東海道本線)~鶴見~(武蔵野線)~府中本町~(武蔵野線)~西船橋~(京葉線)

予想ルート2

(東海道本線)~戸塚~(横須賀線)~大崎~(山手貨物線)~田端~(東北貨物線)~大宮~(大宮支線)~別所(信)~(武蔵野線)~西船橋~(京葉線)

予想ルート3

(東海道本線)~戸塚~(横須賀線)~大崎~(りんかい線)~新木場~(京葉線)

ただし、「予想ルート3」は可能性が低いと思われる。りんかい線という他社線を走らなければならないし、そこに583系を入線させた実績がないからだ。それに、りんかい線と京葉線は新木場駅の先で線路がつながっているものの、定期列車の運行はないし、臨時列車もきわめてまれにしか通っていない。

では、正攻法といえる「予想ルート1」か、やや裏技的な「予想ルート2」か。どちらも可能性はあるが、すでに湘南新宿ラインと埼京線で混雑している山手貨物線経由よりは、最初から武蔵野線に入れてしまうルートのほうが、列車の数が少ないのでスジを引きやすい。それに、山手貨物線・東北貨物線経由で北上すると、そこから武蔵野線にダイレクトに入れない。いったん武蔵野線との交差を通り過ぎてから、大宮駅で方向転換する手間がかかる。これも趣味的にはそちらのほうが面白いのだが。

ちなみに、2015年の「超会議号」(485系お座敷列車「華」による日帰りツアー)では、品川駅から上野東京ラインを通り、大宮駅まで北上して、そこから先は「予想ルート2」と同じルートだった。ということは、今年も品川駅まで東海道本線を東上してきて、そこから先が昨年と同じルートになる可能性はないだろうか?

その場合、上野東京ラインを構成する東北縦貫線(東京~上野間に新設された在来線)が障壁になると考えられる。重層高架部の前後に33パーミルの急勾配があるので、そこを583系が走れるかどうかという問題だ。過去にここを583系が通ったことはないはずだし、6両編成のうち中間4両が電動車(4M2T)だから、そのうち1ユニット・2両がダウンすると2M4Tとなってしまい、登坂不可能だ。

……といったことを考えると、現実的なのはやはり、鶴見駅付近から武蔵野線に入れてしまうルートだろう。

運行ルートを予想する際、考慮に入れたいファクターが2つ

ここまで、さまざまな候補経路を挙げてきたが、実際に運行しようとすると、考慮しなければならないファクターが2つある。

まず、回送にしても本番にしても、北陸新幹線開業にともない金沢~直江津間が第3セクター鉄道に移管されてしまっている点が問題になる。3セク各社の線路を通す際には、しかるべき対価を支払わなければならないからだ。営業列車ならまだしも、利益を生まない回送列車を通すために3セク経由とするだろうか? じつは廃車解体や検査のために車両を運ぶ配給列車も、3セク化された区間を避けて大回りしているのだ。

もうひとつ、「超会議号」の運行終了後、583系を秋田に戻す場面まで含めて考慮しなければならない話がある。それが車両の向きである。出て行ったときと戻ってきたときで車両の向きが逆になっていると、床下機器の配置が正反対になってしまい、検修作業の勝手が違ってしまう。だから、できれば向きは変えたくない。

ところが、今回のルート次第では、「超会議号」の運転を終えた後、海浜幕張駅から秋田へ回送した時点で編成の向きが逆転する可能性がある。もっとも、海浜幕張駅からいきなり武蔵野線に戻した場合に編成の向きが逆転するのであれば、「わくわくドリーム号」と同じ要領でいったん東京駅に回送してから武蔵野線に戻せば、向きは元に戻る。

さて、実際にはどういうルートを経由するだろうか? 当日までのお楽しみである……といいたいところだが、実際には臨時列車の運行情報として、事前に情報誌に運行ルートが出てしまうかもしれない。行先不明のミステリー列車というわけではないのだから。