【レポート】

成長鈍化の半導体市場で生き残っていくために必要なこととは? - MaximのEVPが語った日本市場の重要性

 

Maxim Integratedは3月9日、都内で会見を開き、同社が2015年に行った構造改革の概要、ならびに注力事業の1つである自動車分野への取り組みについての説明を行った。

構造改革の指揮をとったMaximの全製品事業部およびセールス&マーケティング本部統括のエグゼクティブ・バイス・プレジデントであるマシュー・マーフィー氏。短い期間だが日本地域を担当したこともある

この構造改革のリーダーとして指揮をとった同社 全製品事業部およびセールス&マーケティング本部統括のエグゼクティブ・バイス・プレジデント(EVP)であるマシュー・マーフィー(Matthew J.Murphy)氏は、「2015年にこれまでにない規模での変革を行ったが、これは我々にとってよりよい未来を作るためのものである」とし、その背景として、「半導体の市場は世界規模でこの1~2年の間に大きく変化し、全体的に成長率が鈍化する状況に陥っている。こうした環境の変化に対応する必要があった」と説明した。

最大の変革は、注力するビジネスとそれ以外のビジネスを見極め、注力するビジネスにマッチするための組織の構造そのものの変更。具体的には、製品事業部とセールスを1つにまとめ、ビジネスユニット同士の連携の強化とビジネスの加速、そして企業としての成長の促進を図る体制へと変化させた。また、企業としてのビジネスの在り方そのものも見直しが進められた。こちらも意味合いとしては、注力すべきところに資源を集中させる、という組織構造の変更と同じで、将来の戦略にマッチしない事業は売却や切り離しなどが実施された。

多数あった事業部がターゲットとするアプリケーションを中心とした事業部へと統廃合などが行われるなど、かなり大掛かりな再編が行われたという (出典:Maxim Integrated hosts Investor Day 2016のプレゼンテーション)

こうした取り組みは半導体デバイスの製造を行うファブにも適用され、稼働率の低かった米国テキサス州のファブがTowerJazzに売却された。「ファブの持つ製造キャパシティをフルに活用できない状況が続いていたが、ToweJazzへの売却により、他社の製品の製造も可能となり稼働率も改善。我々の製品もパートナーとして従来どおりの品質を維持しつつ生産されており、両社にとってプラスに働いている」と同氏は現在の同ファブの様子を説明する。この売却の結果、ミクロンオーダーのレガシープロセスを用いた製品を製造するオレゴン州のファブのみが手元に残り、全社売り上げの中で自社ファブが占める割合は25%程度となっている。

こうした変革の下、新たに掲げられた同社の戦略としては以下の4つとなる。

  1. 高性能電源を主導(Lead high-performance power)
  2. ターゲットとなる成長市場で差別化(Differentiate in targeted growth markets)
  3. コアプロフダクトを育成(Grow core products)
  4. オペレーショナルエクセレンスを推進(Drive operational excellence)

Maximが掲げる4つの戦略

中でも電源に関しては、同社のアナログ半導体製品における売り上げの半分程度を占めるパワーマネジメントIC(PMIC)を対象としたものとなる。同社はカメラやスマートフォンといった小型機器から自動車やデータセンターといった大型機器まで幅広いPMICを提供してきた。「PMICは我々が過去30年にわたって培ってきた技術の結晶であり、将来の市場発展に向け、今もさまざまな付加価値の開発を進めている」(同)としており、産業機器やデータセンター/クラウド、自動車向けバッテリー、ウェアラブルなど高性能電源が重要となる分野に向けた投資を行っていくとする。

PMICとしては、高性能な電源が重要となる分野に投資を行っていく

産業用電源向けPMICの発熱の例。画像では、左が競合他社のソリューション、右がMaximのソリューションとなっており、発熱に差があることが分かる。こうした低発熱チップをゼロから設計して製造することが差別化要因となるという

こちらはサーバにおける例。電力密度を高めることで、競合他社のソリューションに比べフットプリントが33%小型化できているという

Maximのオートモーティブ製品事業部バイス・プレジデント兼ジェネラル・マネージャーであるランドール・ウールシュラジャー氏。31年間のキャリアの中で18年間を車載アプリケーション向けICなどの開発などに従事するなど、社内ではミスターオートモーティブと呼ばれているとのこと

市場として同社は産業機器ならびに自動車関連を特に意識しており、特に自動車関連に関しては「過去10年にわたって、自動車向けに特化した製品の開発を行ってきており、それがこの2~3年の成長に寄与するようになってきた」(同社オートモーティブ製品事業部バイス・プレジデント兼ジェネラル・マネージャーのランドール・ウールシュラジャー(Randall Wollschlager)氏)とのことで、製品寿命が長い市場であるため、一度採用されれば、それが積み重なっていくことで、強固な成長ベースを築けるという。

また、自動車関連におけるアナログ半導体そのものの搭載数の伸びも後押しになっているという。「2015年の時点で、アナログ半導体市場の規模としてはスマートフォン向けと同程度となり、2016年以降はスマートフォン市場異常の規模になっていくことが予測されている」という市場背景を追い風に、平均成長率以上の成長を目指すとする。その成長の鍵を握るのは電気自動車(EV)向けバッテリーマネジメントやヘッドライドなどの照明、そして電源系のパワーマネジメントだとのことで、こうした分野は日本市場においてもニーズが高まってきており、成長が期待できるとしている。

アナログ半導体における自動車関連市場の規模と成長はスマートフォン市場をすでに追い越す勢いとなっている

さらに、スマートフォンで得た体験を自動車の中でも実現してもらいたいというユーザーの期待も高まっている。具体的にはUSBポートからの給電であったり、高速シリアル通信を使ったインフォテイメントシステムやリアシートモニタとの連携などが挙げられるが、そうした部分も含めればハイエンドの自動車1台あたり100ドル以上の売り上げを確保できる計算になるという。

エレクトロニクスが自動車の差別化を生み出す時代が本格的に到来することで、Maximでは1台あたり100ドル以上の売り上げを得ることが可能になると見ている

実際に、2014年時点の同社の売り上げにおける自動車が占める割合は10%程度であったが、2015年10-12月期ではこれが17%まで高まっている。今後もその比率は伸ばしていきたいとしており、2016会計年度で産業機器と自動車で全社売り上げの45%を占めるまでに拡大し、将来的にはその2事業分野で50%を占めることを目指している。なお、マーフィー氏は「日本はMaximとしても、自動車市場としても重要な地域であり、日本のチームが自動車関連ビジネスで活躍してくれていることが全社の売り上げ増加につながっており、今後もその意義は増していく」と、自動車や産業機器で存在感を発揮し続けている日本の重要性を強調しており、顧客のニーズを見極めた製品を提供していくことで、差別化や付加価値の向上を実現していき、それを武器にさらなる成長を狙っていくとしていた。

今後、産業機器分野と自動車分野の成長がMaximとしての成長のけん引役となっていく

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