説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『iPhoneは375Mbpsで通信できるの?』という質問に答えます。

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NTTドコモは、6月から375Mbpsの通信サービスを提供すると発表しました。複数の周波数帯の電波を束ね高速化を図る技術「キャリアアグリゲーション(CA)」の一種で、3つの帯域を使用することから「3波キャリアアグリゲーション(3CC-CA)」とも呼ばれます。

2016年3月現在、NTTドコモは2GHz帯と1.7GHz帯、1.5GHz帯、800MHz帯という4つの周波数帯域でLTEサービス(PREMIUM 4G)を提供していますが、そのうち2つを状況に応じて組み合わせています。現状iPhone最速の262.5Mbpsという通信速度は、2GHz帯と1.7GHz帯の組み合わせのときに実現されます。3CC-CAも複数の組み合わせが存在しますが、NTTドコモは最速となる2GHz帯(最大112.5Mbps)、1.7GHz帯(最大150Mbps)、800MHz帯(最大112.5Mbps)の組み合わせをもって375Mbpsとうたっています。

しかし、3CC-CAは当面iPhoneでは利用できません。最新モデルのiPhone 6s/6s Plusは、いずれの周波数帯にも対応しますが、束ねられるのは2つの帯域です。3CC-CAはハードウェアレベルでの対応(内蔵のモデムチップ)が必要となるため、利用可能になるとしても次期モデル以降でしょう。6月のサービス開始時点では、Android端末のみとなる可能性が濃厚です。

なお、3CC-CAで使う800MHz帯は、基地局が扱う電波のすべてをLTEに割り当てること(フルLTE化)が前提です。800MHz帯は現在3G回線(FOMA)でも利用されているため、当面フルLTE化される基地局はトラフィックが集中する都市部に限られる見込みです。

現行モデルのiPhoneは「3波キャリアアグリゲーション(3CC-CA)」に対応しません