ニコニコ動画で発表され、卒業式ソングとして支持を得ている音声合成ソフトを使用した楽曲「桜ノ雨」を基に、合唱部に所属する女子高校生と仲間たちとの青春を描く青春群像劇『桜ノ雨』(3月5日公開)。山本舞香が劇場用映画初主演を務め、記憶に新しいフジテレビ系ドラマ『南くんの恋人~my little lover』での明るいちよみ役とは一転して、内気な少女・未来(みく)を好演し、新たな魅力を振りまいている。「思い出深い歌、作品になりました」という山本が、女優業への思いや友情について、さらには中学時代の恋愛エピソードまで語った。

女優の山本舞香

――タイトルにもなっている「桜ノ雨」の楽曲を聴いたときの感想は?

最初に聴いたときは「いい曲だな」くらいの感想だったのですが、映画の主演が決まり、合唱もすることになって改めてちゃんと聴いてみて泣きそうになりました。最初のピアノ伴奏のところから、すごくいいんです。

――ピアノの伴奏に惹かれるというと、未来がハル先輩(浅香航大)の演奏に惹かれたのと同じですね。

そうなんです。だから未来がその音色に呼ばれたというのは、分かる!っと思いました。

――ご兄弟と一緒に空手をされていて活動的に育ったという山本さん。周囲にピアノを弾く男性はあまりいなかったのではないでしょうか。そういう男性はいかがですか?

うーん、イメージが沸かないかな。周りにいなかったから。でもピアノを弾ける男の子って、なんかキレイな感じがします。

――未来の奥手な恋も印象的です。山本さんの恋の思い出を教えてもらえますか?

わたし、中学の頃、ソフトボール部でグラウンド練習だったんですけど、体育館で練習している男子バスケ部の男の子を見てときめいてました。普段はちょっと抜けてるような子だったんですけど(笑)、シュート決めてるときが、めちゃくちゃかっこよくて! 何の用事もないのに、「忘れ物した~」とかって部室に戻ったり、汚れてないのに手を洗いに水道に行ったりして、体育館を覗いてキュンキュンしてました。あと、バスケ部が体育館を使えなくて、グラウンドを走るときなんかは、その子が通るときだけ、がんばったりして。めっちゃ速いスピードの球を投げたりしてました(笑)。

――恋に恋してる感じですかね。

そうですね。片想いでしたけど。すっごい楽しかった。キュンキュンして。いま思い出してもキュンキュンします。

――山本さんはいつも明るくて、今回演じた未来とは違うタイプですよね?

違いますね。未来は自分の気持ちをうまく伝えられない内気な女の子。未来みたいに、頭ですっごい考えて、結局そのまま何も言えずに下がるみたいなのはないから、難しかったです。口数が少ない役柄なので、演じる際にしぐさや目の表情に気をつけました。

――そんな未来がクライマックスで自分の感情をむき出しにします。

そこは未来の気持ちになっていたので自然に感情がうわ~っとなってそのままお芝居に出ました。私はいつも現場に行くとき、セリフは覚えますが、動きなんかは考えずに入るんです。あらかじめ決めておくのは好きじゃなんです。あのときも感情に任せてできました。

――実際に合唱に挑戦してみて、合唱へのイメージは変わりましたか?

ひとりがちょっと違う声を出したり、気持ちが欠けたりすると、合唱って成立しない。でもみんながひとつになったらスゴイものになる。泣けるくらい。東京国際映画祭で歌を披露したときにも泣いちゃったんです。直前までワイワイしてたのに、歌いだした瞬間、なんかぶわ~っときて。それくらい思い出深い歌、作品になりましたね。それと、周りのことをより見るようになりました。スタッフさんやキャストの皆さんとかたくさんの方々に支えられているなっていう実感がすごく沸いて。やっぱり楽しいな、このお仕事って思いました。

――中学時代、高校時代で心に残っている思い出は?

中学校の卒業式は仕事の関係でみんなと一緒に出られなかったんです。行ったときにはもう終わっていて、校長室でひとりで卒業証書をもらったんですね。でも後輩とか同級生とか、みんなが外で待っててくれて。歌っていても、そういうことを思い出したりして泣けました。

――本編では友情も描かれます。山本さんはどんなお友達がいますか。

地元の友達で本当にいろんなことを話せる子がいます。私がこの世界に入ってさびしかったり辛かったりしたときに、一番支えてくれました。今も仲良しです。

――初主演を果たして、改めて女優業に対する思いを教えてください。

お仕事を楽しみながらも、いろんな映画、邦画洋画問わず観て、たくさん勉強していきたいと思っています。たとえば未来は内気な女の子だったけど、内気といってもいろんなタイプがあるし、同じように明るい役でもいろんな種類がある。そういうことも勉強していきたいですね。

■プロフィール
山本舞香
1997年10月13日生まれ、鳥取県出身。子供時代から空手を習っており、黒帯を持っている。2011年、三井のリハウスのオーディションに合格。「14代目リハウスガール」に選ばれる。同年7月号から雑誌『ニコラ』の専属モデルとしても活動。2011年のフジテレビ系ドラマ『それでも、生きてゆく』で女優デビューを果たす。2013年、WOWOWの「KAZEOKE #3」で主演。本作『桜ノ雨』で劇場用映画初主演を飾る。公開待機作に『暗殺教室~卒業編~』(3月25日公開)、『殿、利息でござる!』(5月14日公開)を控えている。ほか主な出演作に『江~姫たちの戦国~』(NHK・11年)、『南くんの恋人~my little lover』(フジテレビ系・15~16年)、『劇場版 仮面ティーチャー』(14年)、『暗殺教室』(15年)、『Zアイランド』(15年)。

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