リコーイメージングから、待望のフルサイズ一眼レフ「PENTAX K-1」が登場した。5軸対応のボディ内手ブレ補正や独自の可動式液晶、超解像技術リアル・レゾリューション・システムなど高機能を詰め込んだ本格モデルである。その機能と外観を見ていこう。

「PENTAX K-1」。発売は4月下旬、推定市場価格は税込278,000円前後

上下左右に滑らかに動く液晶モニターの新ギミック

PENTAX K-1の実機を手にしてまず感じるのは、がっしりとしたボディの存在感だ。APS-Cサイズセンサーを採用したこれまでの「K」シリーズに比べておよそ一回り大きく、特に一眼レフの象徴であるペンタプリズム部には重厚な迫力が際立っている。

といってもフルサイズの一眼レフとして、ひときわ大きいわけではない。外形寸法は幅136.5×高さ110×奥行き85.5mm。価格が近いライバル機、ニコン「D810」やキヤノン「EOS 5D Mark III」と比べた場合、ボディの幅と高さは短く、より凝縮された形状にまとまっている。

バッテリーとSDカード1枚を含めた重量は約1,010g。外装は前後と下部がマグネシウム合金で、グリップ部には手になじむラバー素材を配置。剛性感は高く、防塵防滴構造による安心感も漂っている。

ペンタプリズム部の大きさが目立つ高密度なボディ。防塵防滴に加え、-10度の耐寒性能も備えている

背面に目を向けると、これまでにない奇抜な形の可動式モニターに驚かされた。液晶部分が金属製の4本のステー(支柱)によって保持され、ボディから引き出すことで、上下に約44度、左右に約35度まで動く仕掛けだ。さらに液晶を台座から引き上げ、上に最大90度まで向けることもできる。

この「フレキシブルチルト式」と命名されたモニターは、レンズの光軸から画面をずらさずに動かせることがメリットだ。横に開くバリアングル式に比べて速写性で勝り、上下のみに動く一般的なチルト式とは違って縦位置での撮影にも役立つ。

ファインダーには倍率0.7倍、視野率100%のペンタプリズムを搭載。やや暗めだが、そのぶんピントの山はつかみやすく、大きさもまずまずに感じた。透過型液晶によって、各種の撮影情報をファインダー上に表示できる点も便利に思う。

天面から背面にかけてはボタンやダイヤルをぎっしりと配置。ペンタプリズム部の脇には、GPS機能のオン/オフボタンがある

レンズ光軸から位置をずらさず、素早く画面を動かせるフレキシブルチルト液晶。最初はユニークな形状に戸惑ったが、すぐに慣れてそのメリットを実感できた

液晶モニターの仕様は、3.2型・約103.7万ドット。台座から引き上げて上に向けると、ウエストレベルでのライブビュー撮影が快適に行える

フレキシブルチルト式液晶を生かして、カメラを低い位置に構えて撮影。こうした植物などのマクロ撮影時に重宝する

上下に比べると左右の可動域はやや小さいが、カメラを縦位置に構えてローアングル撮影がスムーズに行えることはありがたい

良好な視認性を持つペンタプリズムファインダー。フォーカシングスクリーンの交換には残念ながら非対応

ファインダー内表示の設定画面。必要に応じてグリッドや電子水準器、AFフレームなどをファインダー像に重ねて表示できる