【レポート】

『ZIP!』がついに王者『めざまし』を抜いて初の月間視聴率トップ! - 人気の秘密は"ゆるさ"と"グループの楽しさ"にあり

 

日本テレビ朝の情報番組『ZIP!』(毎週月~金曜5:50~8:00)が、2月の月間平均視聴率9.3%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)を記録し、同時間帯民放トップの座に輝いた。長年トップの座に君臨してきたフジテレビ『めざましテレビ』(毎週月~金曜5:25~8:00、以下『めざまし』)を月間で上回るのは初となる。

『ZIP!』は2011年4月の番組スタート当初こそ視聴率7%前後で推移していたが、年を追うごとにジリジリ上昇。足かけ5年で、ついに朝の王者『めざまし』の牙城を崩した。「○○パン」のようなスターアナウンサーがいるわけでも、ブームを呼ぶコーナーがあるわけでもない『ZIP!』が、なぜトップに立つことができたのか?

『ZIP!』MCの日本テレビ桝太一アナウンサー(左)と北乃きい (C)NTV

ネットサーフィン風の見やすさ

『ZIP!』を見ていて気づくのは、小刻みなコーナーの連鎖。放送開始の5時50分から、実に20数本のコーナーが連続して放送され、しかも10分を超えるものは1~2つ程度しかない。

特筆すべきは、「チューモーク!」「アレナニ?」「ZIPdeポン! ○×クイズ」「1分動画笑」「ZIP!MAPPING」「ZIP!deポン! あっちむいてポン」「Showbiz Fashion Check!」「グッド・モーニング!!!ドロンジョ」「ZIP!deポン! アローハ」「きいワード」「MOCO'Sキッチン」など、"サラッ"と見られる1~3分のミニコーナーが多いこと。「本来要となるニュースにミニコーナーが付随する」というより、「ミニコーナーの中にニュースがある」というイメージだ。

ここまでコーナーが小刻みだと、ブツ切れのような印象を受けそうなものだが、決してそんなことはない。クスッと笑わせたり、「へえ」と納得させたり、ゲームで遊ばせたり、それぞれのコーナーをサクッと楽しめる。次々にコーナーが変わる様子は、さながらネットサーフィンのようで、ハイテンポな展開はいかにも現代風。さらに裏番組との比較では、報道系ニュースの時間が少なく、トレンドや雑学などの"ゆるい"コーナーが目立つ。

例えば、つい先日は「東京で流れていなくて驚いたご当地CM」というコーナーがあった。これは「東京在住の地方出身者に、地元のCMを口ずさんでもらう」というものだが、このような「朝から押さえておきたいニュース」のではない、「朝からわざわざ見なくてもいいゆるい情報」が多い。

思えば『めざまし』もサクッと見られる番組として人気を集めていたが、『ZIP!』はその上を行く気楽さが受けているのではないか。長引く不況や社会問題、多発する事件や事故などの暗いニュースが多い中、「朝から暗い気持ちになりたくない。癒やされたい」と思っている人は多い。雲をモチーフにしたポップな番組ロゴ、手でハートを描くような"『ZIP!』ポーズ"なども含め、異例のゆるさは明らかな差別化になっている。

個人のすごさよりグループの楽しさ

『めざまし』は、八木亜希子、小島奈津子、高島彩、加藤綾子など、女性アナウンサーの存在感と人気が番組を引っ張ってきたが、一方の『ZIP!』は桝太一アナと北乃きいというメインこそいるが、それほど前面に出ているわけではない。むしろ、"番組の顔"という個人ではなく、"チームとしての仲のよさ"を伝えようとしている様子がうかがえる。

このスタンスが現代の視聴者心理にピッタリなのだ。東日本大震災以降、世間は"個人のすごさ"よりも"グループの楽しさ"を求めるようになった。例えば、国民的タレントとなった嵐は、"グループとしての楽しさ"を見せることで親近感を抱かせる筆頭格だが、『ZIP!』も十数人もの出演者が楽しそうな姿を見せて親近感を抱かせている(前述した"ゆるさ"も嵐と『ZIP!』の共通点と言える)。

さらに『ZIP!』は、前述した「ご当地CM」のような一般人への街頭インタビューが多く、アーティスト・渡邊ヒロアキと、モフモフのスタンダードプードルが、日本中の人々とふれ合う「ニッポンわくわくキャラバン」など、視聴者と横並びで楽しむような番組作りが目立つ。

料理コーナーにミシュラン店などの有名料理人ではなく、速水もこみちを起用しているのも視聴者との横並び意識のひとつ。「オリーブオイルかけすぎ!」とツッコミやすいのも親近感があるからこそであり、お天気お姉さんを「美紅ちゃん」、北乃きいを「きいちゃん」と呼ぶなど、"みんなの番組"という牧歌的なムードが強い。

カトパン卒業の『めざまし』は過渡期

『ZIP!』は日常の素朴な疑問を解決する「HATENAVI」などの人気コーナーが浸透したことに加え、細部でのひと工夫も魅力のひとつ。例えば、ドラマの番宣で俳優・女優が出演したときも、「究極クエスチョン」という遊び心たっぷりの2択トークで楽しませるなど、各企画に創意工夫が感じられる。

一方『めざまし』は、メインキャスターの加藤綾子アナが4月1日で番組を卒業するなど、今年はまさに過渡期。後任の永島優美アナがどうというよりも、コーナーも含めてハッキリとした起爆剤が求められるのではないか。日本テレビで長年放送されてきた『ズームイン!!』ブランドから大胆なモデルチェンジを図った『ZIP!』の勢いは間違いなく本物だけに、マイナーチェンジではなく「一から積み上げる」くらいの気持ちがなければ、独走を許してしまうかもしれない。

ゴールデンタイムの視聴率が落ち込む中、テレビ局にとってリアルタイム視聴が見込める朝番組の重要度は増している。今後は、裏番組が『ZIP!』を意識した番組作りを模索するのではないか。

『めざましテレビ』のメインキャスターを卒業するフジテレビ加藤綾子アナ(左)と後任の永島優美アナ

■木村隆志
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月20~25本のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などに出演。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもある。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』など。

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