【レポート】

サイボウズが「働き方改革」を実現できた理由 - 人事制度は"生もの"だ

1 制度に"ぶら下がる"社員をなくす秘訣は

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サイボウズの青野慶久・代表取締役社長が「柔軟な働き方とキャリア形成」について語った

東京都は2月9日、「ワークライフバランスフェスタ東京2016」を文京区にて開催した。同イベントでは、サイボウズの青野慶久・代表取締役社長が、カイラボの井上洋市朗・代表取締役と対談。「柔軟な働き方とキャリア形成」について語った。

サイボウズでは2007年に、「選択型人事制度」を導入。勤務時間の長短、働く場所の自由度によって、9種類の中から働き方をその都度、選ぶことができる仕組みだ。妊娠、出産、育児など、社員のライフステージに寄り添った制度の導入は、どのように実現されたのか。青野氏の講演内容を中心にお伝えする。

会社に長時間いることで、勝負できる時代じゃない

井上氏(以下、敬称略): 長く働き続けることができる人事制度を導入しているサイボウズ。就職の志望理由にワークライフバランスが整っている点をあげる人は多いですか。

聞き手のカイラボ代表取締役、井上洋市朗氏

青野氏(以下、敬称略): 多いですね。具体的に言うと、毎年新卒の社員を20人採っているのですが、おととしか去年から男女比が逆転し、女性の方が多くなっている。サイボウズはコンピューターエンジニアが多く活躍する会社なので、女性の比率は普通に考えたら1~2割なのですが、新卒では過半数、全体では4割が女性です。ワークライフバランスが整っているから、というのは理由として多いと思います」。

また、実は採用の上で強みになっているのはどちらかというと中途採用。有名企業だから入社してみたら男社会だったとか、男性でも、結婚を前にしてこのまま家族との生活を続けていくには働き方どうかなっていうタイミングがある。20~30代の中途採用志望者が多いですね。

井上: 独身でバリバリ仕事をしたい人、まだ育児や介護に直面していない人にとっての働き方としてはどうでしょうか。

青野: 僕たちは「ライフ」を充実させなさいとは言っていない、自分で働き方を選びなさいと言っています。そして、途中で変えていいと言っている。独身で家族もおらず、介護にも直面していない場合には勤務時間の長いコースを選ぶ人が多いし、結婚したり子どもができたり、親が病気になったりしたというタイミングで、勤務時間を短くするという人もいる。また、勤務時間は長くてもいいけれど、できるだけ家で働かせてくださいという人が出てくるといった感じです。

結婚、出産、それに両親が近くに住んでいるかどうかというファクトで働き方を選んでいる人が多いですね。でも、要素はいろいろあります。若い人でも、例えば社員の中には、飼っている猫がすごく好きで、猫に会いたいから早く家に帰りたいという人もいますよ(笑)。仕事はできるんですけどね。

会社に長く残って働くと、スキルが上がるって思い込んでいる人がいっぱいいる気がします。もちろん、会社にいくら残っているかが勝負だっていう時代もありました。しかし今、長時間労働で得られる知識は新興国に勝てない。時間が安い人には勝てないのです。

いろんな知識をミックスさせながら、ユニークなアイデアを出していくっていう戦いに切り替えないと成長にもつながらない。だからむしろ、若手を成長させようって思ったら、「会社に長く残っていたらやばいぞ」と私は言いますね。外部の趣味の集まりなどで人脈や視野を広げたほうがはるかに仕事にいきてくる。

「ワークライフバランス」は"社員"のためでなく"会社"のため

井上: このイベントのテーマでもある「ワークライフバランス」。言葉自体は市民権を得てきたと思うのですが、何のためのワークライフバランスなのかっていう部分がないがしろになっている気がします。サイボウズでは、どういった経緯で働き方の多様化を導入し、どのように目的の意思統一を図ってきたのですか。

青野氏がワークライフバランスの目的について語った

青野: 社員に言っているのは、働き方の多様化は「社員のためじゃない」ということです。かつてサイボウズはITベンチャーで、土日出勤、深夜残業が当たり前の会社でした。2005年には離職率が28%にもなった。4人に1人が辞めるということなので、次の人を入れて、さらに教育もしないと会社がまわらないという事態になりました。そのとき、「効率が悪くないか」と気づきました。

辞めていく人を減らしたほうが経済的に合理性があると理解したので、どうやったら長く働けるか社員に聞きました。その結果、育休が少ないといわれたので、育休は6年取れるようにしたし、在宅勤務も始めました。目的は福利厚生のためではありません。

私たちの会社の目的は、「いいグループウェアを作って世界中のチームワークをよくする」ということ。それを目的に集まった集団なので、それに貢献しなければ組織でやっていけませんよと言っています。制度は何のためにあるのか、みんなで会社の目的を達成させるためにあるし、そのために使うのです。だから在宅勤務についても、もっとうまく使って、もっといいグループウェアを作って、もっとたくさん売ってほしい。そのような制度の使い方を僕は期待しています。そうならないのなら、在宅勤務の制度は意味がなくなってしまう。

これを言っとくと何がいいかっていうと、社員が制度を悪用しなくなる。権利ばかりを主張して、制度にぶらさがる社員がいなくなります。そして、みんな考えて工夫して働いてくれるようになる。在宅勤務の使い方ひとつでも、頭を使って生産性を上げるために工夫してくれる。目的を掲げることは、制度を作るうえで大切です。

ここまで、サイボウズにおける「ワークライフバランス」の考え方、そして目的について青野氏が語った内容をお伝えした。では、どのようにしたら企業の「働き方」を変えることができるのか。講演会の後半では、その秘訣について青野氏が解説している。

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インデックス

目次
(1) 制度に"ぶら下がる"社員をなくす秘訣は
(2) サイボウズが乗り越えた、改革に伴う「痛み」とは
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