このように、初代ボンカレーの登場から48年間、消費者のニーズ変化に対応しながらもブランドが持つアイデンティティを守り抜き、レトルト食品の世界をリードしてきたボンカレーだが、この2月に主力商品であるボンカレーゴールドがさらにおいしく進化し、生まれ変わった。

垣内氏は、「キーワードは“原点回帰”だ」と説明。ボンカレーゴールドに使用する具材を国産野菜に切り替えることで、消費者の「安全・安心」ニーズに対応するというのだ。

「ボンカレーの特長のひとつが、高温・高圧殺菌で保存料や合成着色料を使用せず、安心して食べられるレトルトカレーで。これに原料産地へのこだわりを加え、消費者に更なる安心感を提供したい」と垣内氏は説明。

実は、加工食品には原料産地の表示義務がなく、消費者は口に入れる食品がどこの原料を使っているかを知ることができない。これが“レトルト=材料がわからない=食べるのが不安”というイメージを作ってしまっていたのだが、今回の新発売を機に国産野菜を採用していることを打ち出すことで、国産野菜にこだわる消費者のニーズに応えようというのだ。

2月12日に新発売したボンカレーゴールドとこどものためのボンカレー

もちろん、この新発売の背景にあるのは、世の中の“食の安全”に対する関心の高まりだ。ここ数年、賞味期限切れや異物混入など、外食産業や加工食品に対する消費者の不信感、不安感は高まる一途を辿っている。新しいところでは、愛知県を中心にメーカーが廃棄した食品が不正に流通していることが発覚し、多くの消費者に不安を与えている。外食産業でも近年は国産原材料へのシフトが進んでいるが、大塚食品でも、こうした状況に2年程前から危機感を感じ、国産野菜を採用して安全性を高めた新しいボンカレーゴールドの開発に着手したのだという。

「原料コストと商品価格のバランス、原材料となる国産野菜の調達、そして何よりも今までと変わらない味わいの追求。一番の売れ筋商品だからこそ、これまでの価値を崩さずに新しい付加価値を提供できるよう、開発は慎重に進めてきた」と垣内氏は説明する。

その食べ物が、安心して口に運べるものかどうか。これは多くの消費者、特に子育てをする親などにとっては、高級感や本格感など以上に商品を選ぶ上での重要な基準となってきている。ボンカレーは、こうした消費者のニーズに応えながらレトルト食品に対する不安感を払しょくし、業界の新たなスタンダードを作ろうとしているのだ。

「消費者に行ったリサーチでもレトルト食品に対する誤解は多く、一方で食品購入時に国産野菜を選ぶ傾向は8割を超えています。こうした国産製品へのニーズの高まりに応えることで、レトルト食品に対する不安や懸念を取り払い、安心して手に取ってもらえるようになればいいですね。ボンカレーゴールドは、“高級”ではなく“高品質”を追求していきたいのです」(垣内氏)