このレポートでは、よく聞くけどわかりづらい2016年スタートのマネーに関する新制度を簡単に解説していきたいと思います。前編は「金融所得課税の一本化」「マイナンバー制度」についてご紹介しましたが、後編では「電力自由化」「106万円の壁」についてご説明します。

「電力自由化」で電力会社を選べる時代に

これまでは電気を利用する際の契約は、住んでいるエリアを管轄している電力会社と契約することしかできませんでした。それが2016年4月から始まる「電力小売自由化」により、好きな電力会社と自由に契約することができるようになります。

自分で電力会社を選んで契約をすることで、環境に優しい電力を供給する会社を選択できたり、ポイントが貯まったり、電気料金が安くなったりするメリットが挙げられます。

申込は各企業のWebページより行い、特別な機器を設置する必要もなく簡単に切り替えることができます。万が一契約している会社の電力が不足しても、管轄の電力会社がフォローするので、停電の心配はないということになっています。

電力会社を選べる時代に

現状参入各社のプランを見てみると、純粋に電気料金が安くなるプランもあれば、利用料金に応じてTポイントやPontaポイントが付与されるもの、ガスやインターネットプロバイダ、携帯電話料金などの契約と抱き合わせることで安くなるプランなどがあります。中には、携帯電話の2年縛りのように契約期間を固定するプランもあり、早期の解約時には違約金が発生することもあります。

こうした抱き合わせや契約期間の縛りがあると、自由化と言われながらも、不自由な契約になる可能性もあります。契約の際はよく内容を読んでメリット・デメリットを理解してから申込をするようにしましょう。

「106万円の壁」でパートの社会保険適用基準が拡大

会社員の妻は第3号被保険者として、夫の厚生年金から妻の分の国民年金を支払い、また、夫の「被扶養者」として健康保険にも加入しています。この「パートタイマーの社会保険の適用される基準」が2016年10月から拡大されます。条件は、以下5項目が全て当てはまる方です。

【2016年10月から始まる社会保険適用基準】
1 勤務時間が週20時間以上
2 賃金月額8万8,000円以上(年収106万円以上)
3 勤務期間1年以上
4 従業員501人以上の企業(被保険者数)
5 学生以外である

新制度が適用されると、年収が106万円を超えた場合厚生年金と健康保険に加入することになり、妻の保険料負担が増えることになります。これがいわゆる「106万円の壁」なのです。

今までは所得税がかかる「103万円の壁」、夫の扶養を外れて厚生年金・健康保険が適用となる「130万円の壁」を意識しながら働いていた会社員の妻は、「106万円の壁」を意識することになりそうです。

とは言え、厚生年金保険料を払うことで、将来の年金が上乗せされたり、健康保険に加入したりすることで、傷病手当金や出産手当金の給付対象となるので一概に損ということでもありません。目先の得を取るか、それとも中長期的に考えるかによっても働き方は異なるでしょう。

執筆者プロフィール : 丸山晴美(まるやま はるみ)

外国語の専門学校を卒業後、旅行会社、フリーター、会社員、コンビニ店長へと転職。22歳で節約に目覚め、年収が350万円に満たないころ、1年で200万円を貯める。26歳でマンションを購入。2001年に節約アドバイザ―として独立。ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザーの資格を取得し、お金の管理、運用のアドバイスなどを手掛け、TV、雑誌などで幅広く活躍している。