映画『仮面ライダー1号』のメインビジュアル

1971年放送の特撮ドラマ『仮面ライダー』の生誕45周年を記念した映画『仮面ライダー1号』の追加キャストが2日に発表され、モデルで女優の岡本夏美がヒロインを務めることが明らかとなった。

岡本が演じる立花麻由は、かつて仮面ライダー1号/本郷猛のよき理解者だった立花藤兵衛の孫娘という設定。彼女は、仮面ライダーに倒された大幹部・地獄大使をよみがえらせる鍵となる存在で、そのためにショッカーに狙われることになる。彼女を守るため、海外で戦っていた本郷猛が日本に帰ってくるという筋書きであるという。ヒーローが守るべき存在、そして孤独なヒーローの理解者として、ヒロインの重要度は極めて高い。ここでは第1作『仮面ライダー』におけるヒロインたちについて紹介していこう。

初期のヒロイン・緑川ルリ子

悪の秘密結社ショッカーによって改造人間にされた本郷猛だが、幸いにして人間としての心を失うことなく、ショッカーと戦う仮面ライダーになることができた。それは、脳改造の寸前に脱出を手助けした恩師・緑川博士のおかげでもあった。残念ながら緑川博士はショッカーの蜘蛛男によって命を奪われたが、その魔手は一人娘・ルリ子(演:真樹千恵子)にまで迫る。このルリ子こそ、『仮面ライダー』初期エピソードのヒロインと呼ぶべき人物である。

蜘蛛男の糸にからめとられた緑川博士を介抱しようとした本郷を、父親を殺した犯人だと思い込んだルリ子。しかし誤解は第2話で解け、以後は本郷の協力者として、ショッカーの存在を世に知らしめるための活動を行うことになる。重要なポイントは、本郷はルリ子に自分が改造人間・仮面ライダーであることを秘密にしていることだろう。当初、本郷はショッカーを壊滅させたあかつきには自分の体を元の人間に戻したいと願っていた。超人的な力のコントロールがきかない現在の本郷には、ほのかな恋愛すら許されない。ルリ子の存在が、作品に大人のムードを与えていた。

立花藤兵衛とライダーガール

一方、本郷が仮面ライダーだということを知り、さまざまな面で彼のバックアップを行う頼もしき協力者には、立花藤兵衛がいる。もともと藤兵衛はオートバイレーサーとして活躍する本郷のトレーナーであり、よき相談相手だった。本郷はショッカーのアジトから逃げ出した直後に藤兵衛と連絡を取り、協力を仰いでいる。藤兵衛はスナック「アミーゴ」を経営し、ここは本郷やルリ子たちの連絡場所としても機能している。

本郷がヨーロッパのショッカーを追って日本を離れたのと時を同じくして、新たに「立花オートコーナー」なるバイク用品店をオープン。さらに「立花レーシングクラブ」を設立し、本郷に続く選手を育てようとした。しかし、ルリ子の友人ひろみ(演:島田陽子)に誘われて入会した会員は、90ccの経験があるミチ(中島かつみ)以外、マリ(演:山本リンダ)、ユリ(演:沖わか子)をはじめとするバイク初心者がほとんどだった。

これらは第14話からの新展開における出来事で、本郷に代わって日本を守る仮面ライダー2号/一文字隼人の登場に合わせて、番組のムードを明るい方向へ変化させるためにとられた措置であったと思われる。『仮面ライダー』は放送開始直後こそ視聴率面で苦戦していたが、独自の「怪奇アクション」路線が次第に受け入れられ、第8話あたりから視聴率が上昇。制作サイドは第14話以降の主役交代にあたり、より高い人気を獲得するためにいくつかの強化案を打ち出した。

かつてモデル・アイドル歌手として活躍した山本リンダをはじめとする、女性レギュラーの増員はその一つであった。以前よりにぎやかさが増した立花レーシングクラブの女性たちは、時にはショッカー戦闘員と果敢に戦ったりする活発な面を見せるなど、陽気さと華やかさを画面に添えている。まさに『007』のボンド・ガールならぬ「ライダーガール」という愛称が似合うヒロインたちだった。

少年仮面ライダー隊

ライダーガールは時期によって変動があり、沖わか子演じるユリだけが最終回まで連続して登場。けががまだ完治していない時期でありながら、藤岡弘、が見事に復帰を果たした第40話からは、本郷のヨーロッパでの助手としてエミ(演:高見エミリー)とミカ(演:杉林陽子)が加入。そして、本郷猛が一文字隼人に代わって日本の守りについた第52話からは、トッコ(演:中島真智子)がレーシングクラブに加わった。

第70話からはチョコ(演:ミミー)、ヨッコ(演:中田喜子)、そしてユリが主要メンバーとなり、この3人はそのまま、仮面ライダーを支援するため藤兵衛が設立した「少年仮面ライダー隊」の通信員を務めることになった。美少女子役として一世を風靡した高見エミリーや、後に数多くのホームドラマに出演して有名になる中田喜子、アイドル女子プロレスラーに転向して人気者になったミミー(ミミ萩原)など、『仮面ライダー』のヒロインたちはみなそれぞれ独自の魅力を発揮し、作品を支える重要な役割を担っていた。

立花麻由を演じる岡本夏美

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