米Appleは1月26日(現地時間)、同社会計年度で2016年度第1四半期(2015年10~12月期)の決算を発表した。すでに本誌でも決算内容については報じているが、ここでは最新の決算内容を読み解きつつ、今後AppleがiPhoneを中心にどのような動きを見せていくのか、いくつか想定されるケースを挙げながら2~3年先を占っていこう。

現在のAppleとiPhoneを知るには決算報告を見るのが一番早い。「2016年度第1四半期(FY2016Q1)の8-K」と「2015年度第1四半期(FY2016Q1)の8-K」をまずは参照いただきたい。資料の後半にある「Unaudited Summary Data」という項目には、それぞれの四半期に対して直前の四半期と前年同期との売上(ならびに販売台数)比較が確認できる。それぞれの項目は地域別、製品別にカテゴライズされているため、Appleのビジネス概況が簡単にわかるようになっている。

2016年度第1四半期(FY2016Q1)の8-Kより

2015年度第1四半期(FY2016Q1)の8-Kより

まずiPhoneの項目に着目すると、FY2015Q1からFY2016Q1までの年率成長率は1%増に留まっている。依然として伸びているものの、これはほぼ横ばいだ。Appleに関してよくいわれることに「iPhoneの売上依存度が高い」というのがある。実際、iPhone販売がAppleの売上全体のどの程度を示しているかを計算してみると、FY2014Q1は56.4%、FY2015Q1は68.6%、FY2016Q1は68%となる。現在のAppleは売上の7割弱程度をiPhoneに依存している状態で、利益率なども考えればその比率はさらに高まるだろう。気になるのは、FY2014Q1からFY2015Q1にかけてiPhoneの売上比率が伸びたことだが、原因の1つはiPadの落ち込みにあるとみられる。過去2年との比較でiPadの売上は6割程度まで落ち込んでおり、「iPadをiPhoneに次ぐAppleの2番目の柱」にすることに苦慮している様子がうかがえる。

一方で、FY2015Q1からFY2016Q1にかけて引き続きiPadの売上が落ちている一方で、iPhoneの売上比率は68%前後とそれほど変化していない。この理由は「Services」と「Other Products」が伸びていることにある。前者が伸びた原因はおそらく「Apple Music」のサブスクリプションで、わずかではあるが「Apple Pay」などの売上も寄与していると考えられる。これまで「Services」はそれほど売上が変化していなかったにもかかわらず、FY2015Q4からFY2016Q1では一気に25%近く売上が伸びている。これは9月末~10月上旬に3カ月間のApple Musicの無料期間を終えたユーザーが有料サブスクリプションに移行した影響だと考えている。「Other Products」の伸びは測りかねる部分があるが、これは「Apple Watch」「(リニューアル直後の)Apple TV」「(Beatsを含む)その他アクセサリ」など複合的な要素が絡んでいると予想する。

iPhoneのさらなる概況を知るには地域別の数字がわかりやすい。FY2014Q1からFY2015Q1までは日本を除くほとんどの地域で20%以上の成長率を見せていたAppleの売上だが、FY2016Q1の時点では1桁またはマイナス成長が顕著だ。特に日本の12%減少が一番大きい。「Greater China」は中国本土と香港、台湾を含めた中華圏全体を示すが、前年時点では70%だった成長率が14%まで大幅に落ち込んでいる。これに関して1点注意したいのが「iPhoneの中国での発売日」で、2014年時点では10~12月期だったものが、2015年は9月まで前倒しされている。中国におけるFY2014Q4とFY2015Q4の数字を比較してみると一目瞭然だが、FY2015Q1からFY2016Q1までは14%しか増加していないのに対し、FY2014Q4からFY2015Q4ではほぼ2倍近い伸びになっている。つまり、売上のボリュームが前倒しになっているということで、いわゆる「先食い」現象を起こしている。

以上から考えられるiPhoneの直近の四半期の販売傾向は「世界の多くの地域で横ばいかマイナス傾向」にあり、その一方で「(年成長率14%という数字以上に)中国への依存度が高まっている」といえる。Macは横ばいで比較的安定しているなか、iPadはその落ち込みに歯止めがかかっておらず、「Services」と「(Apple Watchを含む) Other Products」は極度のiPhone依存をカバーできるだけの水準に至っていない……というのがAppleの現状だ。「iPhoneに続く柱」を打ち出せない状況で、Appleは当面の間iPhone依存が続くことになり、売上を横ばいまたは減少ではなく、さらに増やすために(iPhoneで)次の一手を打つ段階に入っている。