【レポート】

「1社で閉じる時代ではない」日本マイクロソフト、VC分野のブイキューブと協業

 

2月2日、日本マイクロソフトとブイキューブは、ビジュアルコミュニケーションにおけるクラウド連携で協業することを発表した。ブイキューブは自社の「V-CUBE」シリーズとOffice 365の連携ソリューションを開発し、2016年2月から提供を開始する。日本マイクロソフト代表執行役会長の樋口泰行氏は「1社で閉じる時代ではない。あらゆる企業との連携を進める」と今後の展望を語った。

左からブイキューブの間下直晃氏、日本マイクロソフトの樋口泰行氏

テレビ会議やWeb会議といった映像と音声を組み合わせ、距離を超えた意思疎通を行うビジュアルコミュニケーションは、加速するIT市場において以前から注目を集めていた。近年はさまざまな企業とパートナーシップを組んで、日本的エコシステムを進めてきた日本マイクロソフトだが、今度は1998年からビジュアルコミュニケーションサービス分野で活躍するブイキューブとの協業を発表した。

そもそもブイキューブは「V-CUBE」シリーズを通して、ミーティングやオンラインセミナーなど企業内の幅広い利用シーンに対応するサービスを多数提供しているが、今回はクラウド認証基盤の連係として、「V-CUBE One」とOffice 365、Azure Active Directoryを連携させ、SSO(シングルサインオン)と両社のクラウドサービスのシームレス化を実現する。

V-CUBE ONEとOffice 365のSSOの実現はMicrosoft Azure Active Directoryを使用する

その理由としてブイキューブ 代表取締役社長 CEOの間下直晃氏は、「我々の顧客でもOffice 365はデファクトスタンダード的存在となり、多くの企業が採用している。だが、(自社サービスと)認証基盤が異なるため不便を強いてきた。今回の協業により顧客は(Office 365と自社のクラウドサービス)両者へシームレスにアクセスできる」と説明している。

さらにV-CUBEとOffice 365の連携第1弾として、会議などに用いる「V-CUBEミーティング」と配信サービスである「V-CUBEセミナー」においてOutlookカレンダーを連携することを発表した。具体的には「V-CUBEミーティングOutlookアドイン」を提供し、OutlookからWeb会議のスケジュール登録などを可能にする。

Outlookとの連携を実現するため、「V-CUBEミーティングOutlookアドイン」の提供を2016年2月中に開始する

現時点では以上2つのサービス連携を発表したが、将来的なサービス提供として、顧客のMicrosoft Azureプライベートネットワーク接続を想定し、数カ月内に提供する予定。さらに年内にはMicrosoft SharePointやPower BIとの連携を目指すことを明らかにした。具体的な内容は明かさなかったが、ビジュアルコミュニケーション上で得られるビックデータを活用し、顧客の利便性向上を実現すると言う。加えて「Microsoft TranslatorやCortana Analyticsなどとの(Azure上で動作する各サービスとの)連携を予定している(間下氏)」と今後と展望を述べた。

ブイキューブを想定するV-CUBEとOffice 365およびMicrosoft Azureとの連携イメージ。将来的にはMicrosoft Azureが持つ各種サービスとの連携を予定している

ソリューション提供については、販売パートナーを経由することになるが、ブイキューブの料金体系が日本マイクロソフトと異なるため、パートナー向けにOffice 365の料金プランに合わせる新プランを用意した。既にソフトバンクコマース&サービスがディストリビューターとして決まっている。ブイキューブは両サービス利用者数見込みとして初年度内に10万ID、今後3年間で100万IDを目指す。

だが、日本マイクロソフトにはSkype for Businessなどビジュアルコミュニケーションソリューションを既に展開している。必然的に競合することになるが、この点について、「部分的な競合よりもユーザーの利便性も優先した(樋口氏)」「ビジュアルコミュニケーション分野は日本でも数パーセントといった市場規模。ワークスタイル変革の実現と市場規模拡大を目指すため、競合部分には気にしない。顧客の選択肢が広がればよい(間下氏)」と回答した。

ブイキューブはIBMのSoftLayerやAmazonのAWS(Amazon Web Service)など多くのSaaSを利用しているが、今回の協業により、V-CUBEのシステムインフラをAWSからMicrosoft Azureへ移行する。移行コストに関して間下氏は、「昨年春頃から取り組み、約1年で完了した。工数もさほどかからず、比較的容易に移行できた」と語った。

振り返ると日本マイクロソフトが多くの企業と協業する背景には、AWSからMicrosoft Azureへ移行する企業が少なくない。この点について日本マイクロソフト 執行役 デベロッパー エバンジェリズム統括本部長の伊藤かつら氏は、「製品的にはAWSが5年先を進んでいたが、この2年で部分的ながらもMicrosoft Azureが先進的と言えるまでになった」と自社サービスに自信を見せた。さらに「機能差や製品よりも企業同士の付き合い、クラウドプラットフォーム提供者としての信用度など、ビジネスディスカッションが重要になる」と手厚いサポート体制をアピールしている。

日本マイクロソフトの伊藤かつら氏

米国本社であるMicrosoftのCEOとしてSatya Nadella氏が就任して以降、日本マイクロソフトは多くの企業と協業する姿勢を選択してきた。「Microsoftだけでソリューションを閉じるのではなく、ユーザーの利便性を選択する」と語る樋口氏は本協業について「ビジュアルコミュニケーション分野やワークスタイル変革で頼もしいパートナーを得られた」と語る。

阿久津良和(Cactus)



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