【レポート】

大胆なコースレイアウトの変更で、よりスリリングな競技へと進化 - 「ETロボコン2015チャンピオンシップ大会

1 NXTとEV3が混在する最初で最後の大会となったETロボコン2015

鈴木尚志  [2016/01/29]
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昨年、11月18日(水)と19日(木)の2日間にわたり、パシフィコ横浜会議センター3Fにて、一般社団法人 組込みシステム技術協会主催のETソフトウェアデザインロボットコンテスト(愛称:ETロボコン)2015チャンピオンシップ大会(CS大会)が実施された。同大会の参加は日本全国12地区から42チーム、253名を数え、見学者もおよそ600名を超す盛況ぶりであった。

ETロボコンとは

そもそもETロボコンは、2002年に「UMLロボットコンテスト」として始まり、2005年より現在のETロボコンへと名称を変え、今年で14回目の開催となる。

ロボコンと言えばさまざまな大会があるが、このETロボコンの特徴は、組込みシステムにおける技術教育、人材育成をテーマとし、ソフトウェア面を重視したロボコンであるというところだ。2015年度は「5年後、15年後に世界をリードするエンジニアの育成を目指し、若手および初級エンジニア向けに、分析・設計モデリング開発、製品サービスの企画開発にチャレンジする機会を提供する」という目標が設定されている。

そのため大会の競技は「デベロッパー部門」と「イノベーター部門」という2つの部門から構成される。

デベロッパー部門は、一言で言えば「規定ハードウェアを用い、既定の課題をクリアできるような、よりよいソフトウェアを競う」部門であって、初学者向きのプライマリークラス(DPクラス)、より高度なアドバンストクラス(DAクラス)の2クラス制になっている。誤解を恐れずざっくり言えば、今年の競技は「規定のLEGO Mindstorms ロボットによる障害物競走」だ。

一方、イノベーター部門は今年でまだ3年目の新しい部門だ(I部門)。デベロッパー部門が既定の課題を解決するものだとすれば、この部門は課題を自分で定義する必要がある。ざっくりと「LEGO Mindstormsを用いたプロトタイピングを通じ、新規ビジネス・サービスを世に問う練習をする」部門と言ってもよいと思われる。

ETロボコン2015CS大会に参加した2部門3クラスのチーム一覧

CS大会競技会

競技会は、18日の朝から始まり、昼の開会式までの間に、走行体の車検、そして試走を行い、競技会のための調整を実施する。

試走の様子 (提供:ETロボコン実行委員会)

デベロッパー部門競技

開会式の後、最初に行われるのはDPクラス21チームの走行競技である。

DPクラスは「技術の基礎を学びチャレンジするクラス。走行体・バッテリーはワンメイク、ソフトウェアの違いだけによる競技」と定められている。

DPクラスでは、セグウェイのように2輪で走行する走行体が用いられるのだが、本年の特筆すべきことは、規定走行体が2種類あることだ。これは昨年まで使用されていたLEGO Mindstorms NXTが旧製品になったことに伴う措置で、出場者は昨年同様の、LEGO Mindstorms NXTを用いた通称「NXTWay」と、新製品の「LEGO Mindstorms EV3」による通称「EV3Way」のどちらかを選択することとなった。

NXTWayおよびEV3Wayが走行している様子 (提供:ETロボコン実行委員会)

本年も昨年同様、競技コース前半のベーシックステージで時間を競い、後半のボーナスステージで困難な課題の制御を競うというというスタイルは変わらない。ただ、コースレイアウトは大きく変更され、従来の2台が併走して競技を競う形から、LコースとRコースという2つのコースを、ベーシックステージに競技エリアを縦断する長い直線部と、その先の急カーブを設けることで分断し、よりスピード感、スリル感のある競技へと変更された。詳細な競技ルールについては、公式Webサイトを参照されたい。

プライマリークラスのコース概要

競技優勝を達成したガラナエクスプレス

本競技では、ボーナスステージのフィギュアL(Rコース)、ルックアップゲート(Lコース)の難所も、最終難所でもあるガレージ停止までこなした北海道地区の「ガラナエクスプレス(リコーITソリューションズ ES事業部 札幌事業所)」が両コースの難所をすべてクリアし、安定感を見せつけて競技優勝した。競技途中に走行体がラインを見失うこともあったが参加者は焦ることなく「ラインを検知すれば大丈夫」との発言に自信のほどが伺えたのが印象的だった。

競技優勝したガラナエクスプレスのメンバーたち (提供:ETロボコン実行委員会)

午後からはDAクラス競技が12チーム参加で行われた。

DAクラスは、3輪走行する走行体(トライク)が用いられる。DPクラスと異なり、2つの車輪モーターとステアリングモーターという複雑な制御をすることになる。DAクラスにおいても、規定走行体は2種類、すなわち、LEGO Mindstorms NXTを用いた通称「NXTrike」と、LEGO Mindstorms EV3による通称「ETrikeV」である。

NXTrikeとETrikeVの走行風景 (提供:ETロボコン実行委員会)

「技術を応用できるスキルを磨くクラス。速度選択できる走行体によるシステム開発競技。変化する難所、仕様未確定にも対応!」であるこのクラスでは、会場のどよめきを誘う、ウィリー走行や、ジャンプ、高速走行などの高度な走行制御技術の実現が見られた。

DAクラスのコース概要

ただし、残念だったのは「仕様未確定エリアII」、「新幹線攻略」など、観客が期待している「見せ場」の攻略にあまり成功していなかったことである。「まだまだロバスト性能が不足していたのかもしれない(本部性能審査団)」との声もあがっていた。

Rコースのアドバンスト難所の1つ「新幹線」の走行の様子 (提供:ETロボコン実行委員会)

Lコースのアドバンスト難所の1つ「仕様未確定エリアII」の走行の様子 (提供:ETロボコン実行委員会)

本競技では九州北地区の「NiASET(長崎総合科学大学)」が優勝した。NiASETの参加者は「一昨日からデバッグに追われた」と走行前には不安げな発言であったが、実際には、コースをショートカットしたり、難所攻略順番に工夫をこらしたりと、全難所の攻略はしないながらも、要所を押さえた走行で圧倒的な得点を得た。

優勝したNiASETのメンバー (提供:ETロボコン実行委員会

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インデックス

目次
(1) NXTとEV3が混在する最初で最後の大会となったETロボコン2015
(2) 次世代のイノベーターを目指して9チームが挑んだイノベーター部門
(3) 競技会翌日のワークショップには36チーム180名が参加


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