【インタビュー】

「イクメン」提唱者が語る今の"なんちゃってイクメン"に必要なこと

横山茉紀  [2016/01/23]

10年前に「イクメン」という言葉を提唱し、国内外のワークライフバランス先進企業を研究してきたダイバーシティ・コンサルタントの渥美由喜さん。2015年11月に著書「長いものに巻かれるな! 苦労を楽しみに変える働き方」を出版した。

ダイバーシティ・コンサルタントの渥美由喜さんに育児に向き合う夫婦のあり方を聞いた

プライベートでは2度の育休を取得し、また子どもの1人は難病のため看護を経験し、認知症と統合失調症を患う父親の介護も続けている。そんな渥美さんに、育児に向き合う夫婦のあり方についてお話を伺った。

”なんちゃってイクメン”は”真正イクメン”へのプロセス

――「イクメン」という言葉を提唱された10年前に比べ、「イクメン」事情はどう変わりましたか?

10年前と明らかに変わってきたなと思うのは、父親が休日に子どもたちを連れて外に出掛けるというのは普通になったなということです。また、地域によっては平日の夕方以降もそういう男性たちの姿を見るようになりました。明らかに、男性の家事・育児参加は進んでいると思います。ただ、6年前に厚生労働省が「イクメンプロジェクト」を立ち上げたとき、男性の育休取得率を13%に上げようという目標を国は立てていましたが、ここについては結果が出ていない。

男性社員1人が1日休みを取りましたというだけで、「くるみんマーク」(厚生労働省による子育てサポート企業の認定制度)の認定を受けている企業もあるのが現状。家事・育児に関してはまだまだお手伝い程度の男性が多く、本格的に休みを取る人は少ないと思います。

――親が育児をするのは当たり前なのに、少しお手伝いするだけで「イクメン」というのはどうかという批判もあります

たしかに、渥美さんが変な言葉を作ったから、私の夫が「イクメン」ぶって困るって文句を言われることがあります。そういう「なんちゃってイクメン」は、かなり困ったなと思っています。ただ、「男子厨房に入らず」とか「子どもを抱っこしたことがない」と自慢する上の世代の男性たちに比べればかわいいほうだなと思いますし、それは真正イクメンに変わっていくプロセスになればいいと思います。

家事や育児に携わっていくなかでいかに大変かとわかったり、「イクメン」と言えば言うほど妻からの風当たりが強くなったりすれば、そのうち自慢しなくなると思いますよ。プロセスとしてまだやりたてだししょうがないと、おう揚に構えてほしいです。

出産前に「1次反抗期」をつくる

――それではどうしたら、夫が「真正イクメン」になってくれるのでしょうか

まだ子どもがいない、ラブラブなときに「1次反抗期」をつくっておくべきかなと思っています。

――「1次反抗期」とは?

夫が家事をやらなくても「いいよいいよ」とやり過ごすのではなく、摩擦を作っておくんです。「私はあなたと人格が違うんだ」「私の時間はすべてがあなたの時間ではない。私の時間は私の時間」「あなたの時間は一部あなたの時間だけれど、共有する時間は役割をシェアしましょうね」という風にです。そしてそのことを「見える化」したほうがいい。例えば夫が家事をやらないと言うなら、その分家政婦さんを雇った場合にこれくらいお金がかかると提示する。それを夫の給与から天引きするとか。シェアしないと成り立たないという覚悟は示しておかないといけないです。

「子どもがうまれる前に摩擦をつくっておくべき」と語る渥美さん

子どもがうまれると夫は、「妻の愛情が子どもに移ってしまった」「子どもをうんで妻は変わった」とか言い始めるんですよ。一方で妻側からは「あの人は何で変われないの」と変わらない夫と変わった妻が相手を否定しあう。これを「2次反抗期」と私は呼んでいるのですが、「1次反抗期」がないと、「2次反抗期」がすごく深刻化します。子どもがうまれてからでは遅くて、うまれる前に夫を改造することも妻の甲斐性だと思いますね。

夫は愛されたくてすねている

――子どもがうまれてからは、夫にどう協力を仰いだらいいでしょうか

僕の周りでは、妻からネガティブなことしか言われていない男友達がすごく多いんですね。イクメンブームで、男も子育てをするものだという雰囲気で女性たちが結婚して、夫を見てがっくりくる。それで僕の名前を引き合いに出して「渥美さんを見習ってほしい」とか言われているわけです。僕には困ったところがたくさんあるのに、いいところだけ切り取ってね。

まずは片目をつぶって、相手がやってくれたことをほめる。特に自分の子どもがお父さんを自慢することをぜひ実践してほしいと思います。特に、子どもにほめられると男性は変わると思います。妻と子どもの言葉ってすごく大きいんです。

以前、家族とうまくいっていない男友達を誘って、一緒に父子旅行をしたときに、僕は友人の子どもたちに向かって友人がどんなにいいやつか、友達甲斐のあるやつか、学生時代のエピソードの数々を面白おかしく話しました。すると、子どもたちはお父さんにリスペクトの目を持つようになった。そしたら友人はすごく張り切っていましたよ。ここまでがんばるのか、というくらい、旅行中がんばっていました。夫は愛されたいんだもん。僕の周りの妻とうまくいってない夫って、みんな愛されたくてすねているだけですよ。

――ここまで、育児に向き合う夫婦のあり方について語ってもらった。続く後編では、育児と介護の両立「ダブルケア」にどう取り組むべきか、引き続き渥美さんに聞く。

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