ボリュームのあるまつ毛は魅力的だが……

まつ毛エクステンション(まつエク)は、「目が大きく見える」「マスカラいらず」「すっぴんでもそれなりに見える」などの理由から、世の女性に愛好されている。だが、このまつエクが実はダニの温床となっている危険性もあるのだ――。

今回はあまきクリニック院長の味木幸医師に、まつエクと「まつ毛ダニ」の関係や、まつ毛の正しい洗顔方法などについて伺った。

まつエクの付けたしは危険!

まつ毛ダニは、上下まぶたの縁にある分泌腺「マイボーム腺」にすみつく。脂分を好み、マイボーム腺が詰まるなどして脂分がたまって不衛生になっていくと、まつ毛の根元に生息するケースもある。まつ毛ダニが繁殖すると、「まつ毛が生えにくくなる」「まつ毛が抜けやすくなる」「目にまつ毛が入り、かゆみが出る」などの症状が出る。

まつ毛ダニが潜みやすい人の特徴の一つに、「目元が不衛生」という点があげられる。まつエクを使用している人は、少しでも長持ちさせようと洗顔が不十分になるケースが見られるが、その積み重ねが汚い目元につながりかねないと味木医師は指摘する。

「まつエクをしていると、目元を清潔にはするのは無理だと思います。成人式やバレンタインなどのイベントや慶事のときにまつエクをして、エクステした部分が抜け落ちたらやめるという程度なら、ダニは付着しません。付けたし付けたしで何度もまつエクをやっていると、炎症が起きてダニが生息するようになるので、そのようにするならば、付けまつ毛の方がいいです」。

まぶたの内側にまつ毛を埋めるようにラインを描く「インサイドライン」も、マイボーム腺の出口がメイクによってふさがれるリスクがある。たまにする分にはOKなので、覚えておこう。

オイルクレンジングで横10回、縦10回

まつ毛を清潔にしておけば、まつ毛ダニのリスクは低減される。そのためにも、きちんとまつ毛を洗うべきだと味木医師は指摘する。

「クレンジング時はオイルフリーである必要はなく、しっかりと汚れを落とすためにもオイルは入っていて大丈夫です。洗う際は、指の腹部分がまつ毛に当たっている状態で、横に10回、縦に10回とぐるぐる回します。そしてクレンジングで洗った後、しっかり石けんで洗いましょう」。

厄介なことに、このダニを根絶させる薬はない。そのため、日ごろからダニがすみづらいような「まつげ環境」を整えておくことが大切だ。ただ、しっかりと洗顔していたとしても、まつ毛ダニトラブルの可能性をゼロにはできない。万一、まつ毛ダニに悩まされることになったら、下記のような"対症療法"を行い、ダニを追い出すような努力をしよう。

■朝の起床時および夜の帰宅時のクレンジングや洗顔

■脂分のもととなりうるにきびを招くような、油っこい食生活を避ける

■枕元に落ちたまつ毛からの"再感染"を防ぐため、ふとんや枕は常に清潔を保つようにする

これらのことを実践しても、まつ毛が生えにくくなるなどの症状が続いたら、専門の医療機関を受診しよう。

まずは自前での「美まつ毛」育成を

今回紹介したまつ毛のクレンジング方法などに関する知識は、まつ毛ダニ対策に限らず、美しいまつ毛を育毛するために誰にでも知っておいてほしいと味木医師は話す。目元のパッチリ感を演出するために、まずは自前の「美まつ毛」育成を心がけてみてはどうだろうか。

※写真と本文は関係ありません

記事監修: 味木幸(あまき さち)

あまきクリニック院長、慶緑会理事長。広島ノートルダム清心高校在学中に米国へ1年の留学。米国高校卒業後に母校に戻り、母校も卒業。現役で慶應義塾大学医学部入学。同大学卒業後、同大学眼科学教室医局入局。2年間の同大学病院研修の後、国家公務員共済組合連合会 立川病院、亀田総合病院、川崎市立川崎病院・眼科勤務。博士(医学)・眼科専門医取得。医師として痩身や美肌作り、メイクアップまでを医療としてアプローチする。著書も多数あり。