【レポート】

Windows 10の将来を阻むアプリ不足問題 - 阿久津良和のWindows Weekly Report

 

既報のとおり、Windows 10の稼働デバイス数が2億台を突破した。Windows 7は発売4カ月後に9,000万本を売り上げていたが、Windows 10はその記録を塗り替えた。

ただし単純に比較してはいけない。Windows 7はパッケージとして販売しており、Windows 10はWindows 7/8.xを対象に無償アップグレードを提供している。タダでアップグレードできるのだから、Windows 10に移行しない手はない。また、この2億台にはXbox OneやWindows 10 Mobile搭載デバイスを含んでいる可能性もある。

Windows 10は、PC環境によってはトラブルに見舞われることもあるが、シェア拡大は順調だ。Net Applicationsが発表した2015年12月のシェアでは、Windows 7が55.68%と以前と変わらず最大のデスクトップPCシェアを持つ。だが、Windows 10は9.96%とWindows 8.1を抜く勢いだ。

Net Applicationsの「2015年12月のシェア率」を元にグラフを作成。数値を四捨五入するとWindows 8.1と横並びだ

同じく2015年のシェアトレンドから予測すると、2016年3月には15%を超える可能性もあるだろう。問題はシェアトップのWindows 7やWindows XPの存在だ。Windows XPは使用する周辺機器などの関係から使い続けているユーザーが少なくないし、Windows 10への誘い言葉は彼らに通じないだろう。Windows 7のシェアも揺るぎを見せていない。これはWindows 7がビジネス分野で確固たる需要があることを示している。

エンタープライズ分野に関して、Windows 10はさまざまな機能を用意しているが、現時点で耳にする導入事例は多くない。Microsoft Marketing for Windows and Devices担当CVPのYusuf Mehdi氏は「エンタープライズ系顧客の76%がWindows 10のテストを開始し、エンタープライズおよび教育機関ではWindows 10搭載デバイス数が2,200万台を超えた」と進捗状況を強調している。このあたりは日米で事情が異なるようだが、少なくとも米国では順調のようだ。

以前から筆者は本レポートで、アプリケーションの重要性を何度か述べてきたが、2015年末のWindowsストアは盛り上がったという。Mehdi氏の説明によれば、有料アプリケーションおよび有料コンテンツの取り引き件数は2倍に増加し、2015年12月中の利用者数のうち60%は、初めてWindowsストアを利用したユーザーだそうだ。デバイスあたりの収益もWindows 8.xと比較して45倍に拡大している。

だが、Mehdiの説明を楽観視することは難しい。Windowsストアに並ぶアプリケーションがWindows 10以降目新しくなった印象はなく、一部のアプリケーションは他のプラットフォーム向けと比べても完成度に疑問が残るからだ。これはMicrosoft側の責任ではないものの、アプリケーション開発企業が腰を入れるような施策をさらに用意すべきだろう。

Windowsストアから入手できる「Facebook」アプリ。ただし、サポートOSにWindows 8.1が並んでいるため、ユニバーサルWindowsアプリではなく、Windowsストアアプリのままと思われる

さらにBuild 2015で公開したWindows Bridgeの進捗状況も芳しくない。問題はAndroid向けとなる「Project Astoria」だ。これはAndroidアプリからユニバーサルWindowsアプリ(UWA)への移植を可能にするプロジェクトだが、Microsoftは「提供可能状態に至っていない」と述べるに留まり、暗礁に乗り上げた印象を受ける。他方で、iOS向けの「Project Islandwood」は順調だ。

Windows Apps and Store担当General ManagerのTodd Brix氏は1月5日のブログで、Windows Phone 8.x向けAPIとして提供されていたSilverlightをUWA化する「Mobilize.NET」やProject Islandwoodをアピールしているが、そこにProject Astoriaの名はない。

ソフトウェア開発者にアピールするために作られた「Project Astoria」のプロモーションビデオ。現在もダウンロード可能だが、肝心の実体が見えてこない……

「Project Islandwood」用プロモーションビデオでは、既にプロジェクト名ではなく「Windows Bridge for iOS」としてアピールしている

Brix氏は支払いオプションの拡大やプロモーションの強化など、アプリストアを盛り上げる施策を2016年も続けると説明している。現在のWindowsストアは、Google PlayやApp Storeとは比べ物にならないほど市場が小さく、キラーコンテンツとなるアプリケーションも存在しない。Windowsの覇権を再び奪還できるか否かはMicrosoft次第だ。

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阿久津良和(Cactus)

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