冬になっても、毛穴は女性の悩みの種だ

毛穴はあらゆる年代の女性が抱える肌トラブルの一つ。ただ、気にしすぎて過度な手入れをすると、逆効果になることもある。なぜ毛穴は目立つのだろうか。

今回は南青山皮膚科 スキンナビクリニックの院長である服部英子医師の解説を基に、毛穴を目立たなくするポイントについて紹介しよう。

毛穴が目立つ理由

毛穴は誰にでもあるが、その目立ち方は季節や個人によって差がある。毛穴が目立つ肌には、大きく分けて3つの特徴がある。

肌のきめの乱れ

肌の表面には「皮溝(ひこう)」と呼ばれる細かい溝と、溝に囲まれて丘のように高くなっている部分「皮丘(ひきゅう)」があり、これらによって肌のきめが形づくられている。

美しい肌はきめが整っているが、肌あれなどによってきめは乱れた状態になる。きめが整ってふっくら盛り上がっていると、肌に当たった光が乱反射されるため毛穴は目立たない。一方で、きめが乱れた肌では光を正反射してしまうので、毛穴の数や大きさが同じでも目立ちやすくなるというわけだ。

すり鉢状に開いた毛穴

目立つ毛穴の形状を調べると、すり鉢状に開いた構造になっているという。このような毛穴の肌状態は、新陳代謝が乱れ健康な角層が形成できない「角化異常」の状態と言える。

皮脂量の多さ

毛穴が目立つ人は皮脂量が多い傾向にある。この皮脂成分が皮膚常在菌により分解されると、「遊離脂肪酸」ができる。この中にはオレイン酸のような「不飽和脂肪酸」が多く含まれており、きめを乱したり、角化異常を起こしたりなど、毛穴が目立つ肌状態を引き起こすというデータがある。オレイン酸は食用油のオリーブオイルなどに含まれなじみがあり、油脂の成分として食用には好ましいが、「遊離脂肪酸」として肌上に多くあるのは避けたい。

毛穴は冬も目立つ

夏は毛穴の目立ちが特に気になる季節だが、服部医師によると冬でも目立つ毛穴に悩む人がいるという。その原因の一つとして、「乾燥が毛穴を目立たせる」ということがある。

「肌が乾燥しているときめが乱れます。そのため、気温・湿度が低下する冬も毛穴が目立つ季節と言えます。逆に夏は、汗や皮脂の分泌量が増えるため、『肌がうるおっている』という錯覚に陥る人もいるかもしれません。ですが、汗で肌本来のうるおいが流されてしまい、肌内部は乾くという『隠れ乾燥』が毛穴を目立たせてしまっていることもあるのです」。

外と内からのケアが重要

これらのことを踏まえると、毛穴を目立たなくするための手入れとしては下の2つがポイントとなる。

■過剰な皮脂(不飽和脂肪酸)を取り除く

■きちんと保湿をし、きめを整えて新陳代謝を促す

乾燥が気になる冬の季節は、肌の保湿が肝要となる。そのうえで、テカリやべたつきが気になる部分は、収れん化粧水で肌をひきしめたり、毛穴専用の美容液でケアしたりするようにしよう。一方で、過度の洗顔による皮脂の取り過ぎはご法度。かえって刺激となり、皮脂分泌を増やしてしまう可能性があるからだ。

これらの対策をしたうえで、食事摂取による「体の内からのケア」も心がけるとよい。

「皮脂分泌を適正に保つビタミンB2やB6、糖質の代謝に必要なビタミンB1、また肌の生まれ変わりを整えるビタミンAを多く含む食品などを摂取するのもおすすめです」。

ビタミンB2とB6を多く含む食材は牛や豚のレバー、バナナがある。ビタミンB1は豚肉やたらこ、枝豆に、ビタミンAはうなぎ、にんじん、かぼちゃに多く含有されている。乾燥する季節は、これらの食材を意識的に摂取してみるようにしよう。

※写真と本文は関係ありません

記事監修: 服部英子(はっとり ひでこ)

東京女子医科大学卒業。皮膚科専門医。日本皮膚科学会、日本レーザー学会、日本臨床皮膚科学会、日本アレルギー学会に所属。大学卒業後に東京女子医科大学病院やJR東京総合病院の皮膚科に勤務した後、2005年より南青山皮膚科 スキンナビクリニックの院長を務める。