――大泉さん自身と信幸の共通点は何かありますか。

多少…ありますよ。ないと思われがちですけど(笑)。やっぱり家族を大事にしているという部分は共通していますし、信幸ってけっこうな貯金があったらしいんですよ。私もそんなにお金を使う方じゃないので、若干の蓄えは持ってますし(笑)。信幸さんも貯金が好きだったんじゃないかな。

――先日、松代(長野県)を訪れた時、長国寺にある信幸の墓前でどんなことを祈られましたか?

それはもう「北海道出身で、名前は大泉洋で…」に始まり、私がどういう人間であるかをまず説明しました(笑)。そして「このたび演じさせていただくことになりましたが、信幸公の生き様に恥じぬよう真剣に演じたいと思いますので、撮影が無事進むようお祈り下さい」と、心の中でお願いしました。

――撮影における苦労などは?

いかんせん時代劇の経験が少ないということもあり、加えて信幸は堅物のイメージだったので、所作は大変でした。でも、一番大変なのは馬ですね。とにかく力を抜いてただ乗れ、と言われたのですが、それだとただ尻を強打し続けるんですよね…(笑)。慣れるまでホント大変でした。「尻の皮が剥ける」って比喩じゃなく本当にあることなんだと(笑)。家で娘にも笑われました。

――大河ドラマは2作目ですが、他の現場とはやはり違うものがありますか。

映画よりスケールが大きい気がしますよね。ある意味、日本で一番スゴいドラマだと言ってもいいと思うんですよ。なによりセットの大きさには驚きますし、キャストの豪華さも、なかなか映画でここまでの人たちを揃えるのは難しいと思います。やっぱり「大河」だから出ましょう、という役者さんが多いだろうし。すべてにおいてスケールが大きい気がしますね。

――三谷さんと大泉さんの組み合わせに期待する視聴者も多いと思います。

確かに、さすが三谷幸喜というか、「これ、これ!」というのがあるんですよ。三谷さんは面白いシーンを書かずにいられないというか、三谷さんが書くとやっぱり面白くなってしまうんですね。思わず笑ってしまってダメだったこともありました。高畑淳子さん演じる母・薫や、僕と祖母・とり(草笛光子)との関係とか、ギャグで笑わせるわけではないんだけど、絶妙な設定やちょっとしたズレ、セリフ回しが非常に面白いんですよ。

――いつもとは違う大泉さんの真面目な演技も楽しみです。

詳しくは言えませんが、役者人生の中でここまでかっこいいセリフを言ったことがない、というセリフも言わせていただきました。そのセリフを言った日は、記念日として心に刻んでます(笑)。かっこよすぎて笑っちゃうくらい。本来は面白いシーンではないのですが、気持ちも入りましたし、すごくいいシーンになっていると思います。翌日、堺さんから「あのシーンの信幸に、兄としての強さや覚悟を感じられてありがたかった」とメールをいただいたのがとてもうれしかったですね。