NECは25日、現社長の遠藤信博氏が2016年4月1日で退任し、新社長として現副社長の新野隆氏が昇格する新人事を発表した。遠藤社長は会長となり、現会長の矢野薫氏は取締役として残留する。

現社長の遠藤信博氏(左)と新社長となる新野隆氏。遠藤社長の「右腕」として支えてきた新野副社長が、次期NECの舵取りを任されることになった

2016年4月からは、新たな3年間の中期経営計画を定めることになっており、1月から計画策定の第2段階に入るタイミングで、社内外に新社長を示すことが必要と判断した。遠藤社長は3月末までの間、社長として現在の中期経営計画の実行に加え、次期中期経営計画の策定を進め、その実行を新野副社長にバトンタッチする。

これとは別に同社は、携帯電話事業子会社のNECモバイルコミニュケーションズから事業の委譲を発表しており、現在の携帯事業をNEC本体に移管する。

同社は遠藤体制において携帯事業の縮小を進めており、すでにスマートフォンからは撤退。具体的な事業としては、NTTドコモ向けのフィーチャーフォンの開発製造やサポートのみになっていた。この縮小の方針は変わらず「事業は収束の方向」(遠藤社長)であり、別会社としての運営が非効率となっていたことから移管し、現行通りの事業を行う。

「供給責任を果たす」(新野副社長)とともに、既存端末のメンテナンス事業を中心として、仮にドコモのフィーチャーフォン事業が終了すれば、それに合わせてビジネスも終了させる方向性。現時点で、それを前に終了させることは考えていないという。NECモバイルコミニュケーションズの社員を含めた全事業を本体に吸収することで、同社は実質的に休眠会社となるが、解散時期などについては今後定める予定だ。

NECは、2010年4月の遠藤社長就任以来、携帯事業やPC事業を縮小・売却するなど、B2CからB2B事業への転換を進め、2015年までの中期経営計画では社会インフラ、社会ソリューション事業に注力する方針を示してきた。2016年以降の新野新体制では、これをさらに強化し、国内だけでなくグローバルでの売上を30~40%程度まで拡大していきたい考え。携帯事業を本体に移管しても、今後のビジネスと関連させる方針はなく、NECの携帯事業は終焉を待つばかりという状況は変わらないようだ。