【レポート】

スマホ連動型スノーボードバインディング「SNOW-1」が17日発売 - 14個のセンサーやバッテリを内蔵しながら強度・防水性を確保

Cerevo、スマート・スポーツブランド「XON」(エックスオン)のシリーズ第1弾として、Bluetooth搭載のスマートフォン連携型スノーボードバインディング「SNOW-1」(スノウ・ワン)を17日に発売する。直販価格は税別69,800円で、12月中に出荷する。

「SNOW-1」は、2015年1月に開発発表された製品で、同月米ラスベガスで行われた展示会「2015 International CES」(CES 2015)で試作機が展示されていた。今回の発売に合わせ、同社はもの作り施設「DMM.make AKIBA」で製品発表会を開催。同社代表取締役CEOの岩佐琢磨氏が、国内初となる製品版のデモンストレーションなどを披露した。

「SNOW-1」をデモンストレーションするCerevo代表取締役CEOの岩佐琢磨氏

スマホと連携する世界初のバインディング

「SNOW-1」は、スノーボードとブーツを固定する「バインディング」と呼ばれる器具に、計14個のセンサー、Bluetooth機能を内蔵した製品。センサーは加速度、ジャイロ、方位の9軸センサーに加え、板がどのくらい曲がっているのかを検知するスノボ曲げ感知センサーを各足2個標準搭載。このほか、足裏とスノーボードの間に荷重センサーを各足4個ずつ装備する。

SNOW-1。本体サイズはW320×D175×H275mm、重量は1セットで2.7kg。LとMの2サイズを用意する

SNOW-1を使用したところ。スノボ曲げ感知センサーは標準で2個搭載しているが、今後センサーの別売を予定し、最大3個まで搭載できる

計測した情報は、Bluetooth 4.0で接続したiOSデバイスで表示する。専用のiOSアプリでは、足裏の荷重分布、GPSから計測される滑走速度、ノーズ側/テール側板曲がり、加速度、重心位置、Bluetooth接続状況が確認可能。アプリには動画撮影機能も用意し、計測データをiOSデバイスで撮影した動画にオーバーレイ表示したり、GPSデータをもとにGoogleマップ上で滑走軌跡を確認したりできる。

これにより、滑走中のボードのしなりや荷重のかけ方、重心の位置やルートなどを記録でき、自分の滑りを分析して効率的に上達できるほか、上級者に情報を見てもらいアドバイスを受けるといった使い方ができる。また、各足の前後に1個ずつ(計4個)装備した高輝度の青色LEDは、荷重をかけると光るようになっており、滑走中に荷重の掛け方を目視できるほか、夜間に滑るナイトランディングで目立つというファッション面でも楽しめる。

専用アプリに表示される情報

実際に試したところ、ほとんど遅延なく、ほぼリアルタイムで重心や傾き、荷重の情報が反映されていた

「SNOW-1」の内部。白い点は荷重センサー。中央にはバインディングを固定する丸型の器具を装着する

各足の前後には、荷重をかけた時に光る高輝度BlueLEDを備える

本体サイズはW320×D175×H275mm、重量は1セットで2.7kg。サイズはMとLの2種類を用意。充電はmicroUSB経由で行い、1回の充電で約7時間動作する。防水性能はIPX4相当。体重制限は100kg。対応スマートフォンはiOS 8.4.1以降を搭載したiPhone 5s以降/iPod touch(第5世代以降)で、推奨端末はiOS 9以降を搭載したiPhone 6以降の端末。

直販価格は税別69,800円。17日から発売し、同社直販サイトおよび九十九電機にて12月中に出荷する。また、早ければ年内に大手ポーツ用品店での取り扱いも予定するほか、2016年1月に開催する「CES 2016」では製品版を展示する。

「SNOW-1」から取得した情報を表示するiOSアプリ。写真右は情報をオーバーレイできる動画撮影機能だ。インタフェースは、グラフィカルで未来的なデザインを目指した。岩佐氏が「中二病的なデザイン」と指示したところ、海外の展示会で評判が良かったとのこと。なお、動画撮影中に端末とのBluetooth通信が切れた場合は、撮影映像と取得データのオーバーレイが行えないが、近日中に端末のBluetoothがオフの状態でも後からデータを同期できるよう、アップデートする予定

開発までの道のり

同社代表取締役CEOの岩佐琢磨氏は、「Cerevo」が手がけるIoT製品の開発スタンスとして、「電気が通ってないものをスマホ・ネット連動で改革する」という方針を説明した。例えば一般的なリビングひとつ取ってみても「この中で電気が通っているのはテレビくらい」(岩佐氏)。身の回りの電気が通っていないものをネットにつなぎ、何らかのベネフィットを提供することが、同社が進めるもの作りの基本方針という。

Cerevoが手掛けるIoT製品の開発方針。一般的なリビングの中で、ネットにつながる製品はテレビくらい

「SNOW-1」の概要

今回発売する「SNOW-1」は、この方針を基に作られたもの。スノーボードのバインディングを長年製造している工場に必要な基板を持ち込み、強度や防水性を確保しながら開発を進めてきた。

2014年の10月頃開発に着手し、2015年のCES 2015で開発表明と試作機を展示。この時点では、今回の製品版からみて10%程度の完成度だったという。バインディングはもともと部品点数の少ないシンプルな製品だといい、この中に複数の基板を組み込むため、強度や防水性、組み立て工程に苦労したが、工場ではバインディング製造時に行なう強度試験があり、通常のバインディングに求められる強度試験をクリアした。

質疑応答では、なぜアドオン(普通のバインディングに付属する形)で提供しなかったのか、スポーツ用品メーカーと協業しなかったのか、という質問が飛んだ。

アドオン提供に関しては、開発にあたり、通常のバインディングにアドオンする形も検討したが、単なる通信用チップとして発売しても「製品の機能が理解されずに消えるのでは」と考えた。バインディングの新製品として発売し、後からアドオンを別売した方が世間に受け入れられやすいと判断したという。また、メーカーとの協業に関しては、「今後やっていきたい」としながらも、「既に製品を確立しているメーカーが、全く新しい事業に入るのはハードルが高い。荒削りでも自分たちの定義で作るから開発がスムーズに行え、今後の協業もしやすくなる」とコメントした。

「XON」シリーズ第1弾としてスノーボードを選んだ理由は、「スキー層よりスノーボード層の方が新しいものを好む印象がある」から。用途としては、ユーザー自身のスノーボード技術向上のほか、スノーボード教室で生徒に「SNOW-1」を貸し出し、インストラクターがデータを見て的確なアドバイスをする、といった業務用途での活用も想定している。

製品版の「SNOW-1」(写真左)と、主に3Dプリンタを使い開発されてきた試作機群(写真右)。外装が透明なモデルは初期の段階の試作機で、当初は各足の情報をBluetoothではなく有線で取得する予定だったが、強度が足りなかったため、各足にBluetooth通信機能を装備し、左右の足から発信される情報を1つのアプリで同時に処理する形になった

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