Qualcommが中国・北京で開催したSnapdragon 820お披露目イベントでは、ラウンドテーブルとしてQualcommから4人のメンバーが参加し、主に日韓のメディアの質問に答えた。

QualcommのTim McDonough氏(左)とPeter Carson氏(右)

同じくTim Leland氏(左)とTravis Lanier氏(右)

Snapdragon 820は、SoCとして「Kryo CPU」やGPUの「Adreno 530」などから構成されているが、今回はKryo CPUの搭載が1つのポイントとなるだろう。Snapdragon 810ではARM Cortexを採用していたが、今回初めて64btのカスタムCPUとなった。

もともと同社にはカスタムCPUの「Krait」があったが、iPhoneが64bit化し、Android OSもそれに追従したことで、早期に64bit化が必要となったものの、当初のロードマップではこの64bit化はもう少し後のタイミングになるとみていた。そのため、ARMのCortexをそのまま採用する形でSnapdragon 810シリーズを投入した、ということのようだ。

そして今回、晴れてCortexベースのカスタムコアであるKryo CPUが64bit CPUとしてリリースされた形だ。コア数はオクタコアからクアッドコアに変更されているが、オクタコアといってもbig.LITTLE方式であり、パフォーマンスと電力効率でクアッドコアが最適と判断した、としている。

ARM Cortex自体は満足していたとしつつ、Snapdragon 820で目指したのは、SoCとしての総合的な性能と機能だという。例としてメモリを上げつつ、ゲームなどでのレイテンシの低さとバンド幅の広さといったユーザーの用途を想定してSoC全体を設計しており、単純なパフォーマンスだけでは判断していないという考えを示す。

Snapdragon 810で問題視された熱について尋ねてみたところ、820では電力効率が向上して消費電力が低減している点を強調。VRゴーグルのような製品への展開も行うため、発熱には一定の配慮がされていることを紹介しつつ、ユーザーシナリオによって発熱は変わってくるとして、明確な回答は得られなかった。

ベンチマークのような高負荷の状況ではなく、カメラで撮影する、といったシナリオで検討すべきとしているが、同日実施されたベンチマークセッションでは、複数のベンチマークを連続して実施したが、リファレンスモデルの背面は多少温度変化があった程度で、一定の大きさと厚みのあるリファレンスとは言え、発熱も抑えられていることが期待できそうだった。

Snapdragon 820搭載製品の登場時期や価格帯は明らかにされなかったが、すでに70以上の製品開発が進んでおり、早ければ年明け早々に米国で開催されるInternational CES 2016、2月にスペインで開催されるMobile World Congress 2016で発表される製品もあるかもしれない。