2015年12月16日から18日、マイクロエレクトロニクス製造サプライチェーンの国際展示会「SEMICON Japan 2015」が東京ビッグサイトにて開催されている。本稿では、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のブースの様子についてレポートする。

ブース内で特に長い行列ができていたのは可視光半導体レーザーの技術を利用したデバイス「網膜走査型レーザーアイウェア」のデモンストレーションだ。

「網膜走査型レーザーアイウェア」。フレーム内側に可視光半導体レーザーの技術を応用した超小型プロジェクタが実装されている

同デバイスはNEDOのプロジェクト「最先端可視光半導体レーザーデバイス応用」の成果のひとつで、同プロジェクトで開発された、RGB三原色のレーザー光を細径ファイバーで自在に出力できる光源モジュールを利用した技術の応用例となっている。

具体的には、人の網膜をスクリーンとしてフレーム内側にある超小型プロジェクタから光を直接投影することで、視力やピント位置によらず、内蔵カメラの撮影画像や外部のデジタル情報を見ることができるというもの。弱視の方への視覚支援や作業支援などへの展開を考えているという。また、同デバイスに搭載されている光源モジュールは、自動車のヘッドライトやレーザープロジェクタといったところへの応用も想定している。

光源モジュールはRGB三原色のレーザー光を細径ファイバーで自在に出力できる

またNEDOは、「クリーン熱電池」を用いた独立給電型のセンシングモジュールの用途を開拓するプロジェクトを行っている。クリーン熱電池は、デバイス上下の温度差を利用して発電するという技術を用いたもので、300~600℃の中温度域で利用することができる。同プロジェクトはこの電力を利用してセンシングおよび通信を行おうというものだ。自動車エンジンの排気系やボイラーへの実装を目指し、開発を進めているところだという。

デバイス上下の温度差を利用して発電。この技術をもとに独立給電型センシングモジュールの開発・用途開拓を行っている