説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『iPhoneに延長保証は付けたほうがいいの?』という質問に答えます。

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統計資料は存在しませんが、iPhoneを修理に持ち込む原因は「ディスプレイ破損」と「水没」、そして「バッテリー交換」が大半を占めるそうです。iPhone 6sの場合、ディスプレイ破損は1万4800円、その他の故障は3万4800円、バッテリー交換は9400円となります(AppleのiPhoneサポートページより)。延長保証を付けるべきかどうかという話は、煎じ詰めればこの金額を超えるか超えないかの読みということになるでしょう。

iPhoneには購入日から1年の製品保証が付きますが、過失や事故による損傷は除外されています。Appleが提供する保証サービス「AppleCare+ for iPhone」は、過失や事故による損傷も含めてカバーされるうえ、保証期間が2年間に延長されます。価格はiPhone 6sの場合1万4800円です。

ただし、バッテリー交換(性能が80%以下に低下した場合)以外は基本的に有償です。過失や事故を原因とした修理は2回までという制限はあるものの一律1万1800円、延長保証を付けなかったときに比べ割安ですが、この価格が1万4800円に加算されるわけです。

仮に、iPhone 6sのディスプレイを購入から2年以内に2回破損したとしましょう。AppleCare+なしの場合は1万4800円×2の2万9600円、ありの場合は1万4800円+1万1800円×2の3万8400円。無償でバッテリー交換してもらうにしても600円の節約にしかならないうえ、出力低下が目立ってくる時期は購入から2年後あたりという買い換えどきですから、強い動機にはなりません。

水没させた、変形させたなどの本体交換を伴うレベルの故障に見舞われたときは延長保証のメリットがありますが、それ以外は金銭的なメリットを期待できません。iPhone 5など以前のモデルは延長保証なしとの費用差が大きかったものの、iPhone 6s/6s Plusでは差が縮まりメリットが低下しました。よほど水没させがちな体質でなければ、割り切って延長保証には入らず、浮いたお金を機種変更に回すほうが合理的ではないでしょうか。

iPhone 6s/6s Plus以降、未加入との費用差が縮小してAppleCare+の金銭的なメリットは低下しました