LINEは12月10日、都内にて報道陣向け発表会を開催し、ライブ配信プラットフォーム「LINE LIVE (以下、LIVE)」の提供を開始すると発表した。

LIVEは、著名人やタレント、企業、個人などによるライブ配信形式の映像・番組を、LIVE公式アカウント(LINE ID : @linelivecast)やタレント・アーティスト・企業のLINE公式アカウント、スマートフォン向けアプリ「LIVE」(iOS/Android)、Webブラウザから無料で閲覧することができるサービス。

ユーザーは、日常的に利用するメッセージアプリ「LINE」からのプッシュ通知にて番組情報を受け取ることができるため、"リアルタイムに"映像や番組を見ることができる。また、当日放送される番組情報一覧は、LIVE公式アカウントからダイジェスト形式にて配信されるため、事前に興味・関心のある番組を把握することも可能。すでに配信された番組をあとから視聴することや、視聴中にほかのユーザーが投稿したメッセージを閲覧することもできる。

閲覧可能な映像・番組は、アーティストのライブ前の様子やスポーツ選手の試合以外のプライベート映像といった、普段見ることができない著名人のリアルな情報を個人配信形式で届ける「公式パーソナルライブ」や、イベント・劇場・TV・ラジオ番組・スポーツなどさまざまなコンテンツ・プロバイダーとの連携による「公式番組」などを予定。

同日、スマートフォンで簡単に映像の配信を行うことができる専用アプリの用意も発表されたが、サービス開始時は、LINEにて公式アカウントを保有する100名を超える著名人・アーティストなどのみ、映像を配信できる仕様となる。同社によると、2016年の早々に一般個人による配信にも対応していく予定だ。

「公式パーソナルライブ」にて映像の配信を行うことが決定している著名人・アーティスト一覧 (一部)

「公式番組」として映像の配信を行うことが決定している提携先一覧

まずは広告をベースに収益化を図る

発表会には、LINE 取締役 CSMO 枡田淳氏と同社 執行役員 佐々木大輔氏が登壇し、これまでの動画事業への取り組みを振り返ったほか、今後の収益化に向けた戦略を語った。

(左)LINE 執行役員 佐々木大輔氏 / (右)LINE 取締役 CSMO 枡田淳氏

冒頭、枡田氏は、生活者と動画コンテンツの接点が、テレビからテレビとビデオへ、そしてPCからモバイルへと移り変わったことに触れ、番組の放送スケジュールや場所にしばられることなく、"いつでも・どこでも見たいものを見れる"時代になったと説明。同時に、「"今だから見れる・今だから配信できる"といった新たな価値を持つことにもなる」と述べる。

また、こういったデバイスの進化により、みんなで同時に同じ番組をリアルタイムで楽しみ、盛り上がる視聴体験の機会が失われつつあるなど、体験の断絶や個別化を生み出しているとも主張。「例えば、夏フェスなどのイベントの盛り上がりなど、"コピーできない何か"や"体験すること"が求められていると感じます」と語る。

同社ではこれまで、試験的な取り組みとして、2014年2月よりタレント・アーティストなどの著名人や企業の公式アカウントを通じてライブ映像を配信する機能「LINE LIVE CAST」を展開してきた。ここでは、2015年5月に配信した「しょこたん♡でんぱ組 生放送」では230万以上のコメントを、10月に配信した「めざましテレビ PRESENTS T-SPOOK」では510万人以上の視聴者数を記録するなど、手応えを感じてきたという。

試験的な取り組みにも関わらず、これほどまでの視聴者を集めることができた要因は何だったのだろうか。佐々木氏は、「システム的なものではなく、LINEで友だちからのメッセージを受け取るのと同じように、プッシュ通知でお知らせができる点が強みとなったのだと分析しています。スマホという最も生活者に近いスクリーンが目の前にあるだけでは気付いてもらえないんです。友達からのメッセージのようにプッシュ通知ができることで、閲覧・開封率を上げることができたのだと考えています」と説明する。

これらの実証実験から、同社はサービスの機能・コンテンツラインナップともに大幅に拡充し、新たに「LIVE」として提供を開始するに至った。今後は、すでに提供を行う著名人向けブログサービス「LINE BLOG」や定額制音楽配信サービス「LINE MUSIC」とあわせて、LINEをエンターテインメント領域のプラットフォームとすべく注力していく考えだ。

また、サービスのマネタイズに関して枡田氏は3つの可能性を示唆。まずは広告枠の販売をベースに、「ライブ配信者に対する課金モデルの構築」や映像上から商品の購入ができる「LIVEショッピング(EC)」などを想定すると話す。これにより、ユーザーに対して"体験"を提供するだけでなく、アーティストの収益化支援も実施。社会にインパクトを与えるプラットフォームの実現に向け、当面は月間視聴者数1,000万ユーザー達成を目指す。