「リネンは誰もが必ず使うものだから、慌ただしい生活の中にもちょっとした癒しをプラスできるような、優しい肌触りの上質な商品を届けたい」と話すのは香港人のエリーさん。東京・六本木にオフィスを構えるタオル・リネン販売会社「ミナーヴァ」の代表です。広東語・英語・日本語を自在に使いこなす才女ながら、人懐っこい笑顔で年齢関係なく経営者仲間からも慕われる彼女が、流暢な日本語で語った若手経営者ならではの悩みとは?

エリーさん/東京在住/香港出身/33歳/タオル・リネン販売会社「ミナーヴァ」代表

■これまでのキャリアと今の仕事について教えてください。

高校卒業まで香港で過ごし、その後アメリカ西海岸のロサンゼルス中心部にある大学へ留学しました。卒業後は米国で不動産業に携わりましたが、父親が経営者だったこともあり、幼い頃から「いつかは自分でビジネスを」という思いは常に持っていました。最先端の流行が身近にあるロスで過ごした5年間でファッションに対する憧れが強くなり、起業するなら繊維系でと漠然と考えるように。しかしシーズン性がある洋服を扱うことは常に在庫リスクが伴うと考え、同じく繊維系でも毎日使うタオル・リネン類へと、興味がシフトしてゆきました。

2010年に弟と共にベトナムでタオル・リネン製造会社「アテナタオル」と生産工場を立ち上げました。香港人なので工場設立の際は中国本土も考えたのですが、高騰する人件費がネックになり最終的にベトナムを選んだんです。

日本の大手タオルメーカーなどから注文を受け、商品の製造を開始。ものづくりに厳しい日本人の眼にかなった高品質の商品を納品することでメーカーの信頼を得ると同時に、2013年にはベトナム経済産業関係で最も権威のある「トップ10ファーマス・ブランド・イン・ベトナム」という賞を、また2015年には日本でいう「物づくり賞」に相当する「ベトナム高品質賞」をベトナム政府より頂きました。現在はホーチミン市の近くに工場を3つ持ち、500名の社員が3交代制で勤務し、24時間体制で生産しています。そこで製造されたタオルは、日本の5つ星ホテルでも使われているんですよ。

しかし、メーカーの下請けでは自分の提案が100%通る訳ではありません。自分の好きなデザイン、満足できるクオリティの商品を提供したいとの思いが強くなり、2013年に自社販売経路拡大のため東京へ進出。現在は日本法人「ミナーヴァ」の社長として、日本を中心に香港や欧州、米国などへのセールスに注力しています。日本のお客様とは日本語で商談します。日本のドラマが好きだったので、大学卒業前の半年間個人的に日本語を学んだのですが、その時は将来ビジネスで使うことになるとは思ってもいませんでした。人生何が役に立つか分かりませんね!

ベトナム・ホーチミン市郊外にある自社工場は、約500名の社員が交代制で勤務し24時間稼働中

■現在のお給料はどうですか?

以前の会社と比べて、お給料は上がりました。額でいうと1.6倍くらいでしょうか。自分の会社なので、頑張って利益が出たらそれだけ報酬も上がります。もちろん責任も伴いますが、それがやりがいにもなっています。