ファミリーマートが病院内、病院近隣で販売中の「メディカルフーズ(療養食)」の取り扱いを本格化する。病院との連携を強化して、現状の14店舗から2017年度までに200店舗に拡大させる。病院内店舗を持つコンビニはほかにもあるが、他社にない取り組みとし、差別化要因ともなりそうだ。

メディカルフードは、塩分量、タンパク量、糖類などに配慮した食品。同社は約180品目揃え、このうち約90品目を各店舗の利用者を分析してピックアップし、専用棚を設置して販売する。商品ジャンルは栄養強化食品、減塩、タンパク調整食品、低カロリー食品などとなり、国から許可を得た特別用途食も含まれる。これまでテスト的に14店舗で販売していたが、2017年度までに200店舗に拡大、病院内、近隣店舗で半々という構成になる。

専用棚の例。メディカルフードとして約180品目を用意。現状はPB(プライベートブランド)商品はないが、今後検討していくという

同社の取り組みが特徴的なのは、病院と密接に連携したことにある。高血圧、腎疾患、糖尿病患者が、医師・管理栄養士らの栄養指導を受けた後で、病院内の店舗、近隣の店舗で、メディカルフードを即座に購入できるのだ。「メディカルフードを取扱う病院・クリニックはたくさんあるが、基本的には取り寄せとなっているのが現実。スペース都合上、商品を並べられないという課題があった。患者からは多くのアイテムが一つから買えるということで喜んでもらえている」(新規事業開発本部 医療・介護部長の福井弘彦氏)。

売上も好調のようだ。メディカルフーズは、医療の側面が強く、販売単価も高い。ターゲットを絞った購入動機の高い商品となる。一般的な主食系の食材を200円程度としても、500円~1000円ものがよく売れているのが現状だ。一人当たりの購入金額が大きく、まとめ買いで1万円以上の購入する顧客もいる。リピーターも多い。

主食系がよく売れると言う

こうした同社の取り組みは、コンビニの病院内出店においての強みになるかもしれない。コンビニの進出先は、病院内にも広がっており、ローソンは「ホスピタルローソン」を展開、セブン-イレブンも同様に出店している。病院との密接な連携の点では、まだ競合のコンビニ他社はないとしている。病院側にとっても、いままでにないニーズを満たせるようになり、ファミリーマートを選択する理由になりえる。

2025年には5人に1人が高齢者になり、病院とコンビニのつながりは、より密接なものになるのは確実。今回の取り組みが、他社との大きな差別化要因になれるのか。コンビニと病院との連携の真価が問われるのはこれからだ。