多種多様な候補から自分好みの端末を選択でき高度なカスタマイズが可能、それがAndroidの魅力であり強みです。しかし、その自由度の反面わかりにくさを指摘されることも少なくありません。このコーナーでは、そんな「Androidのここがわからない」をわかりやすく解説します。今回は、『Android Wearの登場でスマホは変わるの?』という質問に答えます。

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Android Wearは、Androidスマートフォンと同じAndroid OSをベースとしたウェアラブル端末/スマートウォッチの規格です。OSの仕様や対象ハードウェアのスペック、操作性や外観といったユーザインターフェイスの部分は異なるものの、OSとしての基本機能は共通しています。開発環境が共通なため、アプリ開発のノウハウを生かせることがメリットとされています。

共通項が多いとはいえ、両者の用途やデザインは大きく異なりますから、Androidスマートフォンと直接の競合関係になるとは考えられません。心拍センサーやジャイロセンサーなどを搭載し、より体に近い位置にあることを生かした機能でAndroidスマートフォンを補完することが、当面の役割になることでしょう。

しかし、Android Wear端末の普及が進めば、Androidスマートフォンが変化する可能性はあります。2016年に発表予定のBluetooth Smartの新規格は、バッテリー消費量を増やさずに通信速度が2倍/通信範囲が4倍になることが明らかにされていますから、Androidスマートフォンとの連携は一層密になることでしょう。そうなれば、Android Wear端末の母艦としての機能充実が図られるはずです。

セルラー通信が可能になれば、Android Wear端末の存在感は格段にアップします。初のセルラー通信対応Android Wear端末「LG Watch Urbane 2nd Edition」は、残念ながら発売後間もなく販売中止/キャンセルとなり、日本では姿を見ることができませんでしたが、自律的な通話とデータ通信が可能な端末が登場すれば、スマートフォン市場を蚕食する可能性があります。

デザイン性の高さにも注目です。スマートフォンは、どうしても板状にならざるをえませんが、腕時計であればデザインの自由度は高まります。実際、TAG HeuerやFossilといった腕時計メーカーがAndroid Wear市場に参入していますから、"人前で見せる"機能はAndroid Wear端末側に担わせる時代が来るのかもしれません。

セルラー通信対応Android Wear端末が普及すれば、Androidスマートフォンの役割は変化することでしょう(写真は「LG Watch Urbane 2nd Edition」)