【レポート】

IoTやIndustrie 4.0を先取りする半導体製造現場 - 先進装置・プロセス制御(AEC/APC)シンポジウム2015

1 いかにインテリジェントを持たせ高効率に半導体を生産するのか?

 
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次世代半導体生産向け製造装置および製造プロセスの自動制御(Advoaced Equipment Control/Advanced Process Control)に関する国際シンポジウム「AEC/APC Symposium Asia 2015」が、「インダストリー4.0時代の境界なき交流の場」というテ―マの下、開催された(図1)。主催は、半導体製造のノウハウをサイエンスに高めてScientific Manufacturing(科学的製造)をめざす半導体製造国際シンポジウム(ISSM)実行組織体で、AEC/APCシンポジウムは、ISSMの姉妹会議の位置付けとなっている。後援は、電子情報技術協会(JEITA), 日本半導体装置協会(SEAJ)、国際半導体装置材料協会(SEMI)など。科学的な半導体製造で歩留まりや生産性を向上させるための核となるAEC/APCに関して、海外からの参加者も交えて活発な議論が行われた。

図1 AEC/APCシンポジウムの会場風景。Best Paper Award(最優秀論文賞)を受賞したルネサスの講演の様子

先取りしてIndustrie 4.0を実現する半導体工場

AEC/APCというのは、半導体工場内の製造装置に温度、圧力、ガス流量、薬液組成、プラズマ密度、印加電圧・周波数、などさまざまな装置/プロセス・パラメータである多変量を計測する多種類のセンサを取り付けて、そこからの大量のデータ(いわゆるビッグデータ)を収集・解析し、フィードフォワード、フィードバックを駆使して装置やプロセスの変動による製品のバラつきを制御する手法である。先端半導体工場で、プロセスや装置の安定化をはかって製品歩留まりを向上させ、品質や生産性を高め、トータル・コストの低減をはかるための自動化システムと言えよう。

これは、現在、世界中の産業界で注目されているIndustrial IoT(IIoT)やIndustrie 4.0の発想そのものであり、半導体工場では、他産業に先駆けてそれを具現化してきている。

日本では5回目の開催だが米国での開催数は27

AEC/APC シンポジウムは、半導体メーカーと装置、材料、ソフトウェア、センサ、計測・分析機器メーカーが一堂に会し、プロセスや装置の自動診断や最適化を通して、インテリジェントで高効率な生産システムの構築を議論する場として、会議名称は若干異なるものの、毎年、世界3カ所(欧州・米国・アジア)で開催されている。アジアでは、2003年以来、台湾で毎年開催されている。日本では、2007年に熊本で初めて開催されたのを機に、隔年で開催されており、今回は日本で5回目の開催となる。

米国では、1989年に「Sematech AEC/APC Conference」の名称で第1回が開催されて以来、毎年開催されており、今年は去る10月にテキサス州の州都オ―スチンで第27回目のAPC Conferenceが開催された。欧州では来年4月に「第16回 European Advanced Process Control & Manufacturing Conference (APC/M)」がドイツで開催される。

かつて日本が勘と経験と度胸(?)でDRAMの大量生産を行っていた頃から、米国ではAPCが議論され、「製造を科学する(manufactuirng science)」ことにより、ついに米国半導体産業が復権を果たすこととなった。この点で、米国はAPC分野で先行しており、欧米はITの活用でも一日の長がある。

仮想計測や異常検出分類を中心に議論

今回は、口述発表13件、ポスター発表8件の合計21件の発表がおこなわれた。国別では、日本14件、米国3件、韓国2件、ドイツ1件、マレーシア1件。組織別では、熊本大学3件、東芝、ルネサス、Infineonグループ(ドイツ/マレーシア)、Samsungグループ(韓国/日本)、 Rudolph Technologies(米国)各2件、その他の企業・大学各1件。

今回も半導体製造装置/プロセスパラメータ情報をモニターし、その情報を活用することで、実際に計測・検査を行わずに半導体ウェハの加工特性を予測する手法である「仮想計測(VM:Virtual Metrology)」や、それぞれの半導体製造装置からのさまざまな出力をモニターし、何らかの異常を検出した場合、その結果を統計的に処理することにより異常の種類を分類する手法である「装置異常検出分類(FDC:Fault Detection and Classification)」を活用したAPCを関する発表が相次いだ。ソニーセミコンダクターは、「さまざまなデ―タを活用したVM-APCによるMOSFETしきい値電圧の予測と安定化」と題する発表を行った(図2)。

図2 仮想計測(VT)データを多変量解析し、その情報をフィードバック・フィードフォワードしてプロセス制御をおこなう概念図 (出所:ソニーセミコンダクター)

また筑波大学からは「VMとFDCに関する機械学習とデータマイニングの応用」と題する発表が行われ、Student paper Award(学生論文賞)を受賞した。

さらにパナソニック・デバイスエンジニアリングからは、指数加重移動平均(Exponentially Weighted Moving Average:EWMA)を使った新しいFDC手法の銅めっき装置への適用例が報告されたほか、三重富士通セミコンダクターは「高密度プラズマCVDのエッチングレートのチャンバーごとのばらつきをなくす手法」を発表した。

そして東芝からは、「NAND型フラッシュメモリ製造現場での減圧CVDプロセスへのAPCの適用による膜厚変動の減少と生産性の向上」に関する発表が行われた。さらに、同社は半導体製造装置が正常に機能しているかどうかをデータでチェックし、装置の信頼性や生産性を向上させるシステムである「装置エンジニアリング・システム(Equipment engineering System:EES)からのデータを用いた装置メンテナンス時の組み付け不具合の検知」のポスタ―発表で、Best Poster Award(最優秀ポスター賞)を受賞した。

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インデックス

目次
(1) いかにインテリジェントを持たせ高効率に半導体を生産するのか?
(2) ベストぺ―パ―アワードを受賞したのはルネサス
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