Dragon Boardで「素のLollipop」を使う

Dragon Boardにプリインストールされているのは、GMS認証のない"素のLollipop"だ。スマートフォン/タブレット向けのOSという事情を考慮すると、本稿で使いやすさを論じても意味がない。そこで、ホビー用途としてのDragon Boardの素性はどうか、という1点に絞ってチェックしてみた。

Dragon BoardにプリインストールされたAndroid Lollipopのホーム画面。Firefoxがバンドルされている

バンドルされているアプリ。Google PlayやYouTubeはないが、一通りのことはできる

まずは音楽再生。ハードウェアデコード可能なコーデックとしては、PCMとAAC+(HE-AAC/HE-AAC v2)、MP3、WMAなどが挙げられており、一通りのオーディオ再生が可能なようだ。試しに付属の再生アプリ「音楽」でMP3 256kbps(VBR)を再生してみたところ、HDMI経由でテレビのスピーカーから出力された。ただし、OSレベルでサポートされないFLACやALACといったロスレスコーデック、およびハイレゾ品質の音源は再生できないため、こうした音楽の再生には別途アプリが必要だ。

音声出力はHDMIのほか、Bluetooth(A2DP)を利用できる。前述したとおり、ボード上のLEDが煌々と光り続ける難点はあるものの、ワイヤレスということもあり気軽に楽しめる。楽曲はmicroSDカードに保存しておけるので(Androidの制約かUSB Aポートに接続したUSBストレージは認識されない)、リモコンを用意できれば音楽再生専用機としての道も拓けそうだ。

設定画面。言語に日本語を選択するだけで、メッセージは日本語に切り替わる

内蔵ストレージ(eMMC)の使用状況。利用開始直後は、約4GBが空き領域となっている

静止画/動画の再生にも利用できる。ハードウェアデコードできるコーデックはH.264(最大1080p@30fps)とH.265(720p)で、H.264でエンコードされたフルHD(1080p/30fps)のムービーが滑らかに再生できることを確認している。microSDカードを利用できるため、デジタルカメラやアクションカムコーダで撮影した静止画/動画のビューアとして使えそうだ。

ファイルブラウザを使って、microSDカード内の写真(JPEG)を検索したところ。もちろんビューア代わりに利用できる

Bluetoothスピーカーとペアリングできる。MP3やAACなどのオーディオファイルは「音楽」アプリで再生

ところで、Dragon Boardの40ピン拡張コネクタは、DACとの通信に使うI2S(Inter-IC Sound)に対応している。現状のAndroid OSでは難しそうだが、対応ソフトやノウハウが蓄積されているLinuxを導入すれば、オーディオファン垂涎の「I2S出力対応オーディオトランスポータ」としての活用が視野に入ってくる。Raspberry Piでは、USB-DACやI2Sを利用してオーディオ機器にへの出力を楽しむユーザが増えているが、アクセサリ市場次第では今後、Dargon Boardでも同様の使い方が広がるかもしれない。

処理能力だが、定番JavaScriptベンチマーク「Sun Spider 1.0.2」をFirefoxで実行したところ、トータルで1248.4msというスコアが得られた。OSやJavaScriptエンジンの違いを無視すれば、性能的にはXperia Z Ultra(Firefox 42.0で測定したところ962.4ms)を若干下回るレベルと考えていい。最新/最速のAndroid端末というわけではないが、どの程度のパフォーマンスかを想像する助けにはなるだろう。

JavaScriptベンチマーク「SunSpider 1.0.2」の実行結果。パフォーマンス的には、2~3年前のAndroid端末に近い