5Gを支える要素技術その3・4

  • ミリ波を使った高速通信

従来の通信よりも高い周波数帯域を活用するのも5Gでのキーポイントとなる。周波数が高いとそのぶん遠くに飛ばないなどの特徴もあるが、競合が少なくまとめて広い帯域を利用できるというメリットもある。ノキアと共同で、70GHzという高周波数帯のミリ波を使って同時に8つの4Kストリーミング伝送をデモしていたほか、三菱電機と共同で、44GHz帯を使用し、仮想ながら768素子という大規模なマッシブ-MIMO構成と、16ビーム多重とビーム間干渉抑圧(プリコーディング)を併用して大容量伝送の検証を行っていた。

44GHz帯を500MHz幅で利用することで、最大で4ユーザーに21.5Gbpsを実現していた

さらに、スウェーデンのエリクソンと共同で、15GHz帯(実験では14.9GHz帯を使用)での超広帯域伝送(730MHz幅)の実験を実施。10Gbps以上のスループットを実現していた。

電波暗室内ながら11Gbps以上を確認できた

  • アンライセンス周波数帯を用いたLTE通信(LAA)

免許の必要なLTEなどの周波数帯に対し、BluetoothやWi-Fiで使用する2.4GHz帯や5GHz帯は国際的に免許不要で利用できる「アンライセンス周波数帯」をLTE通信に活用(LTEとWi-Fiのアグリゲーション)しようというもの。LTE LAA(Licence Assisted Access)や、LTE-Uともいう。

米クアルコムやエリクソンなどが提唱しており、3GPPもRelease 13で規格化を検討中で、2016年3月にも規格化される見込み。ただし、同周波数帯を利用する無線LAN機器の承認団体であるWi-Fiアライアンスは5GHz帯の利用を反対しているほか、自身も11axなどの規格を提案しており、すんなり決まるかどうかは未知数だ。

ファーウェイと共同でLAAの実証事件を実施。LAAではWi-Fiに影響を与えることなく、WiFiのみと比べて高いスループットを実現しているのがわかる

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順調に行けば光回線なみの速度を期待できる5Gだが、まだまだ超えねばならない技術的なハードルは多いようだった。2010年のLTE導入時は、思ったよりも速度が出ずにがっかりした記憶があるのだが、5Gではサービスインが東京オリンピックと重なることから、最初からある程度のパフォーマンスも期待されることになる。ドコモにはがんばって実験を進め、安定した5Gの実装に貢献してもらいたい。