【レポート】

人工知能は研究所を飛び出してビジネス効果をもたらす技術へ - 日立製作所

 

日立製作所は今年9月、現場を理解して業務指示を行う人工知能を開発したことを発表、10月には人工知能で企業の経営課題解決を支援する「Hitachi AI Technology/業務改革サービス」を発表するなど、ビジネスに人工知能を活用する発表を積極的に行っている。

「今回の発表につながる研究は、すでに10年以上前から行われていたものです。この研究をベースとしたものではありますが、サービス自体は実証実験ではなく、ビジネスとして提供する商品になっています」と、「Hitachi AI Technology/業務改革サービス」を担当する情報・通信システム社 スマート情報システム統括本部 ビッグデータソリューション本部 先端ビジネス開発センタ 技師の三輪臣弘氏は話す。

日立製作所 情報・通信システム社 スマート情報システム統括本部 ビッグデータソリューション本部 先端ビジネス開発センタ 技師 三輪臣弘氏

これまで研究レベルにあった技術をサービスとして提供を開始した背景については、「ご存じのように、IoTの広がりも踏まえ、データが増大しています。われわれは、増え行くデータをどう活用すべきかについて、研究を行ってきました。この研究が商用サービスとして提供可能なレベルになったことから、サービスとして展開することが決定したのです」と、三輪氏は説明する。

人工知能による分析の特徴とは?

ビッグデータに関してはすでに数多くのアナリティクス技術が開発されている。通常のアナリティクスは、人間の手で計算するものを選択し、答えを導き出すことになる。これまで手動で行われてきた作業を人工知能により行うことで、どんな違いが生まれるのだろうか。

「手動で行うアナリティクスはこれまで、仮説を立て、そこに関係すると思われるデータを選び、分析を行っていました。それに対し、人工知能を活用することで、仮説を立てることなくデータを分析することができます。つまり、これまでは答えを導き出すために優先度が低いと思われてきたデータも活用することが可能になるのです。仮説が想定できるものは、従来のアナリティクスで十分だと思います。仮説が想定できないものは、このサービスを活用することで、新しい答えが見えてくることになります」(三輪氏)

手動と人工知能のどちらを利用すべきかについて、厳密な切り分けの定義があるわけではない。ただし、三輪氏は「人工知能によるアナリティクスの結果を見ると、人間が手動で行うレベルを超えていると思います。データはあるけれど、答えがどこにあるのか見いだせない時、人工知能を活用することで答えが見えてくる場合があると思います」とAI活用で、手動のアナリティクスにはない可能性があると指摘する。

事例では予想外の結果から売上増を達成

一方、人工知能を活用したユニークな事例も生まれている。アウトバウンド型の営業を行うコールセンターで、オペレーターの成績を上げることを目的に導入したところ、思わぬ結果が出たというのだ。通常のアナリティクスではオペレーターのスキルレベル、教育レベルなどのデータを分析する。これに対し、この事例では、名札型センサーを導入し、オペレーターの動きを評価データの1つとして取り入れた。

「休憩時間に活発にコミュニケーションを行っているオペレーターほど売り上げが高くなっているという分析結果が出ました。通常の評価基準では取り入れられないデータでしたが、その後、コミュニケーションが活発になるような社内体制に変更を行ったところ、実際に売り上げが上がるという成果につながりました」(三輪氏)

また、あるホームセンターでは、マーケッターの提案により棚の位置替えなどの施策を行ってきたものの、効果が出なかったことから、人工知能による分析を導入。その結果、ある場所に店員を立たせたところ、売り上げ増につながることがわかったそうだ。

「どちらの事例も、これまでは切り捨てていたデータが、実は求めていた答えを出す要素になることもあることを明らかにしたものだと思います。このように、従来の業務改革だけでは解決策が生まれなかった分野において、人工知能が新たなチャンスを生む可能性があるのではないでしょうか」(三輪氏)

人工知能による経営課題分析に関しては、「特に業界の絞り込みは行わず、広く活用を呼びかけていく計画です」と、三輪氏は話す。

これまでにはない可能性を企業にもたらす人工知能

日立としては今後、人工知能を活用していく分野として、「顧客の業務へのサービスの組み込み」「リアルタイム処理」という2つを検討している。

三輪氏は、同社が今年10月に開催した展示イベントで、同社の研究開発グループで人工知能を担当する技師長の矢野和男氏が話した内容を例にとり、人工知能の可能性を示唆する。

「ロボットをブランコに乗せるとします。その時、ロボットはブランコのこぎ方を知りません。しかし、ロボットに『高く』という指示を出すと、リアルタイムで判断し、自分自身でこぐことを学習していくそうです。つまり、ロボットはリアルタイムで判断を行うことで、新しいことを学習していくことができるのです。この技術を応用すれば、これまでにはなかった新しい方向で、業務の見直しが行える可能性があります」

日立では研究所で進めている研究、さらに顧客の現場での活用に結び付ける、「共創」という発想で、実用的な研究を行うことを目標としている。「人工知能に対しては、これまでにはなかった可能性を生み出せるのではないかと、上層部からも高い期待が寄せられています」という。もはや、人工知能は研究にとどまらない、実業を変化させる技術になりつつあるようだ。

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