2015年11月25日~27日、前年と同会場のJPタワーホール&カンファレンス(東京)において「FileMakerカンファレンス 2015」が開催されている。

この会期中、ファイルメーカー社社長のビル・エプリング氏、米国FileMaker, Inc. エンジニアリング担当副社長のフランク・ルー氏、米国FileMaker, Inc. プロダクトマネージメント・マネージャーのリック・カルマン氏に、FileMaker 14プラットフォームの動向、製品開発やプラットフォームの方向性などを聞いた。

ビル・エプリング(Bill Epling)=写真左
ファイルメーカー株式会社社長 兼 シニア・バイス・プレジデント、FileMaker,Inc. チーフアドミニストレーションオフィサー。
FileMaker Inc.の前身であるClaris.Corpにおいて1996年に最高財務責任者に就任し、以来同役職で財務および情報システムやIT・施設部門を統括する。過去にはApple Franceにおいて財務担当の取締役、Apple Europeにおいて租税と財務担当の取締役を務めるなど、幅広い国際的な経験を持つ。
フランク・ルー(Frank Lu)=写真中央
FileMaker, Inc.エンジニアリング担当副社長。
FileMaker, Inc.の前身であるClarisにおいて1988年に上級技術者に就任し、以来、FileMaker Pro、FileMaker Go、FileMaker Server、FileMaker WebDirectの開発チームを指揮。FileMaker, Inc.入社前に在籍していたOracle(旧Siebel)では技術部長に就き、CRMアプリケーションのシステム構成の責任者を務めていた。
リック・カルマン(Rick Kalman)=写真左
FileMaker, Inc.プロダクトマネージメント・マネージャー。
2000年にFileMaker, Inc.に入社。最初の5年はデベロッパーリレーションズの技術窓口を担当する。FileMaker Pro 8.5からはFileMaker ProとFileMaker Goのプロダクトマネージャーを務め、現在はFileMakerプラットフォーム全般の責任者としてプロダクトマネージメントチームの指揮にあたっている

機能・セキュリティ面からもぜひ最新バージョンを使ってほしい

-- FileMaker 14プラットフォームが5月13日に発売され、半年が経ちました。動向はいかがですか。

エプリング 勢いを増しています。既存のお客様の多くが、年間のライセンス契約で新しいバージョンを利用しています。もちろん、新しいお客様も順調に増えています。年間ライセンス契約の費用は、パッケージを購入する費用の3分の1です。お客様から見るとそれほどの低いコストでありながら、弊社にとっては最も大きな収入の柱になっているのです。このことからも、たいへん多くの年間ライセンス契約をしていただいていることがおわかりいただけると思います。

ルー FileMaker 14プラットフォームの新機能としては、進化したWebDirect(※注)が特に好評ですね。きわめて好意的なフィードバックをいただいています。

  • ※FileMaker WebDirect:サーバソフトウェアのFileMaker Serverでデータベースを公開することにより、クライアントはWebブラウザからアクセスできる。クライアントとして、MacやWindowsのデスクトップブラウザのほか、iOS 8.1以降のSafariやAndroid 4.4.X対応のChrome 38以降のモバイルブラウザもサポートしているため、FIleMaker Goのアプリが存在しないAndroidタブレットからもFileMakerのデータベースを利用できる。技術仕様はこちら

-- ユーザーの多くが、最新バージョンに移行しているのでしょうか?

エプリング 今回のカンファレンスでは、参加の事前登録の際にアンケートをお願いしてています。それによると、バージョン14を使っている方が49.2パーセントにのぼっています。ユーザー全体における割合を正確に知るのは難しいのですが、年間のライセンス契約やメンテナンス契約によって常に最新バージョンを利用できるお客様は3分の2に達しています。最新のバージョンは機能的にもセキュリティ面でも最も優れているので、多くの方に最新バージョンを使っていただけるのはとてもうれしいことです。

ファイルメーカー社社長のビル・エプリング氏

今後の製品開発の方向性は

-- 新しい機能を取り入れたバージョンは、ユーザーにとってメリットがあるということですね。

カルマン ご存じの通り、テクノロジーの動きはとても速いですね。Appleからも新しいものがどんどん出てきます。私たちはそれを取り入れ、より良い製品を作っていきたいと思っています。たとえば新機能を10個予定しているとして、そのうちの5つは開発が終わればすぐにリリースし、あとの5つはじっくり時間をかけて開発をしていくというようなサイクルで提供していくことを目指しています。

米国FileMaker, Inc. プロダクトマネージメント・マネージャーのリック・カルマン氏

ルー これまでは、すでに完成した新機能であっても、製品の新バージョンがリリースされるタイミングまで提供していなかったケースもありました。これからはリリースのサイクルを見直すことで、より早くお客様に提供できるようになります。

エプリング 技術的には、2人から話があった通りです。経営面から言っても、提供できるものはすぐに提供したいという考えがあります。長期にわたる開発のための費用や人材が必要ですが、もちろんそのための投資もしています。

-- カンファレンス初日の午前中に開催されたオープニングセッションでは、FileMakerはモバイル環境で使用できるということが強調されていましたね。FileMakerのモバイル使用に関して、現在の状況や考えをお聞かせください。

エプリング iOS以外のプラットフォームについては、モバイルのネイティブアプリの計画はありません。AndroidやWindowsなどのデバイスでは、WebDirectを使っていただけます。FileMakerはクロスプラットフォームの製品ですが、FileMaker Goに関してはiOSが最適です。

カルマン そうですね。iOSでのエクスペリエンスが最も優れていると考えています。とはいえ、ほかのプラットフォームでも、よく使われている最新のモバイルブラウザを幅広くWebDirectでサポートするように開発をしています。

ルー クロスプラットフォーム環境ではセキュリティへの懸念も考えられるかと思いますが、セキュリティは私たちにとって最も優先度の高い事項です。開発のあらゆるタイミングでチェックし、包括的に検証しています。

米国FileMaker, Inc. エンジニアリング担当副社長のフランク・ルー氏

ユニークなエコシステムを持つプラットフォーム

-- オープニングセッションでは、エプリング社長のお話にあった「DIY Development」という言葉も印象に残りました。自分自身でカスタムAppの開発ができる、というメッセージでしょうか?

エプリング 自分で開発をしたいという方は、もちろんいらっしゃいますね。ナレッジ・ワーカーとか、最近出てきた言葉ではシチズン・デベロッパーと呼ばれるような方たちです。IT専門の担当者がいない小規模な企業もあります。大企業でIT担当者がいるとしても、現場の仕事に対する理解にはズレがあるかもしれません。このような場合には、業務に携わる方自身が開発することによって大きな効果を得られます。FileMakerはデベロッパのコミュニティが充実していますので、自分で開発をする際にとても助けになります。その一方で、プロに任せたいと考える方々もいます。その場合は、FileMaker Business Allianceなどプロのパートナーと協力しながら開発していくこともできます。このようなエコシステムがあるということが、ほかとは違うFileMakerのユニークさだと思います。

-- そのようなエコシステムにしても、クロスプラットフォームでみんながデータにアクセスできる製品という意味でも、FileMakerはユニークな存在であるように思います。FileMakerの競合は何でしょうか? どのような環境への導入を重視していますか?

エプリング ユニークな存在なので競合を挙げるのは難しいのですが、使っていただきたい環境としては主に3つ挙げられると思います。まず、紙の書類が多いところです。次に、スプレッドシートで情報を整理しているところ。スプレッドシートでは情報の追跡やバージョン管理は困難ですね。そしてさまざまな商用アプリやSaaSに対しても、FileMakerには優位性があると思います。カスタマイズが容易で、低コストかつ迅速に、ニーズに合うものを作れますから。

カルマン iPadのようなタッチデバイスが普及してきて、紙の書類をどんどん置き換えていくでしょう。そのときに、ビジネスで求められているものを作れるのは誰か。それは、ITのプロではなくても、そのビジネスを深く知っている人です。そうした方々にお使いいただけるのが、FileMakerです。

FileMakerカンファレンス 2015」は11月27日(金)まで開催されている。事前登録をしていなくても当日受付による参加が可能だ。FileMakerプラットフォームのエキスパートによるセミナーや、インハウス開発者の生の声を聞ける貴重な機会である。開発や活用事例などに興味がおありの方は、足を運んでみてはいかがだろうか。