沖電気工業(OKI)が主催する「OKI PREMIUM FAIR 2015」が11月19日、20日の2日間で開催された。本イベントは、OKIグループ各社が出展する、プライベートフェアである。

今年のプレミアムフェアのテーマは「つなぐ未来、創る今。」。このテーマのもと、「次世代の社会インフラ」「オムニチャネル&システム」「ワークスタイル変革」の3つのエリアに分けられて、各種ソリューションが展開された。

今回は「次世代の社会インフラ」ゾーンの展示の様子をお届けする。

電波到来方向を推定して、交通安全を支援

ETCなどITS通信には電波が利用されている。この電波の発信元の位置を特定する技術をOKIでは開発中だ。この技術を利用したインフラを路上などに設置することによって、車両や歩行者の位置検知を、限られたエリア(30m×30m)にはなるが、GPSよりも高精度に実現するという。

これにより、交差点周辺における車両・歩行者の交通安全や、高速道路の合流付近の交通安全を支援するという。自動車メーカーでは、2020年に自動運転の実用化が目指されており、同社としては2018年までの本システムの実用化を目指して、現在研究・開発を進めている。

システム構成例

大規模インフラの安全を支える技術

OKIでは、橋やトンネルなど、大規模な構造物を光ファイバーセンシング技術で監視する仕組みも開発中だ。

昨年、国土交通省では、トンネルや2m以上の橋などを、5年に1回の頻度で点検することを義務付けている。国土交通省によると、2013年時点で全国の橋は約70万件、トンネルは約1万件にのぼるという。この重要なインフラを担う橋やトンネルの老朽化を監視し、同時に侵入検知も行う仕組みが「構造物監視用光ファイバーセンサー」だ。

構造物に貼り付けた光ファイバーに光を通し、反射光の特性変化からゆがみや温度の分布測定が行われる。同社の技術では、従来比4分の1のコストで、1,000倍速く、測定を行うことができるという。

構造物監視用光ファイバーセンサーの概要

またそのほかに、無線センサー技術でインフラ監視を行っている技術もある。電池駆動できる920MHz帯のマルチホップ無線ネットワークで、橋や斜面などの安全や防災に役立てる「社会インフラモニタリングシステム」だ。

このシステムでは、橋の振動やたわみ、結合部のずれや、斜面の崩落や土砂崩れ、温度異常などを検知することができ、1km間隔でセンサーを設置し、最大16kmまでネットワークをつなげることが可能だという。また、30分に1回、状況をモニタリングシステムに送信するようにしても、5年間は電池が使用できるとしている。

センサーモジュール

同システムの仕組みを利用して、同社は12月1日から、土砂災害危険斜面を見守る「斜面監視システム」として販売することが発表されている。

斜面監視システム構成

顔認識機能を搭載したカメラシステム

画像認識技術と映像符号化技術によって、OKIでは新しいネットワーク監視カメラのシステムも開発中だ。監視カメラなどの映像データは、膨大な容量になりがちだ。同社では、保安上重要となる顔領域のみ高画質で鮮明に確認できるように処理することで、映像データ量を大幅に低減させるようにしている。同社によると、最高で10分の1程度にまで、容量を低減できているという。

高画質カメラ・低画質カメラとの比較。顔だけ高画質な状態で確認できる

また、画像認識機能は監視カメラに内蔵することによって、コストも削減できるという。

まだ開発段階の「インテリジェント監視カメラ」

さらに、年齢や性別を分析して、企業のマーケティング活動などに活かす、センシングソリューションも開発されている。複数人の顔を判別し、さらにその後識別した人がどこへ向かっていったのか、追跡できるようになっている。同システムは、すでに名古屋駅のショッピングモール「エスカ」で導入されているという。

顔から性別と年齢が分析される