電波式ワイヤレスシンクロ撮影を実践してみよう

「430EX III-RT」の電波式ワイヤレスシンクロはどんなときに役立つのか。実際に撮影した写真を見ながら、その効果と使用感をチェックしてみよう。

1枚目の写真はストロボは使わず、自然光のみで撮影したもの。カメラは「EOS M3」を使用し、露出はオートに設定。青空は見た目どおりの鮮やかな色で再現されたが、手前にあるフクロウのオブジェは日陰のため暗く写ってしまった。

ストロボなし。オート撮影では、日陰部分が暗く写った

そこで2枚目の写真では、露出補正をプラスに設定し、明るめの露出で撮影した。これによってフクロウは明るくなったが、その代わり、背景は露出オーバーになってしまった。

ストロボなし。プラスの露出補正を適用。日陰は明るく写ったが、背景は白トビしてしまった

このような明暗差の大きなシーンを撮る際には、ストロボが役に立つ。次の写真では、「430EX III-RT」をカメラのホットシューにセットし、ストロボ発光で撮影。露出は1枚目の写真と同じだが、ストロボ光によってフクロウを明るく再現できている。オートでの発光だが、背景との明るさのバランスもちょうどいい。

ストロボ発光。「430EX III-RT」をホットシューに装着して撮影

ただ、明るさの面では上の写真は成功といえるが、ストロボライティングという点ではまだ不満が残る。このようにストロボをカメラに装着し、レンズに近い位置から発光させた場合、被写体は明るく写るが、影がほとんどないため立体感が乏しい平坦な描写になる。しかも、ストロボを使ったことが一目でわかり、見る人に作為的な印象を与えがちだ。

こんなときこそ電波式ワイヤレスシンクロを利用したい。次の写真では、トランスミッター「ST-E3-RT」をカメラに装着し、ストロボを左手に持って被写体の斜め上から照射した。3枚目の写真に比べると明るさはほぼ同じだが、陰影によって立体感が生まれている。より自然な雰囲気の写真になったといっていいだろう。

ストロボ発光。「430EX III-RT」をカメラから切り離し、左斜め上から照射した

ここでは静物を撮影したが、被写体が植物や人物の場合でも光の当て方の基本は同じだ。「430EX III-RT」に加えて、トランスミッター「ST-E3-RT」が必要になるというハードルは多少あるものの、この組み合わせによって電波式ワイヤレスシンクロを手軽に実践できるメリットは大きい。