脱水状態および「かくれ脱水」に対する正しい知識と予防方法・対処方法を発信している「教えて!『かくれ脱水』」委員会」は11月19日、都内でメディアセミナーを開催し新型ノロウイルスおよびインフルエンザの今年の傾向と対処法について説明した。

いよいよ流行の季節

寒い時期に流行する感染症の筆頭に挙げられるのはインフルエンザだが、インフルエンザよりもノロウイルスの患者数が多いことはご存知だろうか。全国の約3000カ所の小児科を対象とした集計では、2001~2011年の平均で1つの医療機関につき年間255.52人がインフルエンザと診断されているのに対し、ノロウイルスは年間321.17人を記録している。ノロウイルスの患者数は例年11月からピークに向かい、まさにこれからが流行の季節だ。さらに、今年は「新型ノロウイルス」が大流行する可能性があるという。

2001-2011年の平均では、感染症胃腸炎(そのほとんどがノロウイルス)はインフルエンザよりも多く報告されている。

全く新しいウイルスのように感じる「新型ノロウイルス」だが、分類上は昔からあったものだという。ヒトに感染するノロウイルスは30種類あり、これまではGII.4というタイプが流行していた。しかし、川崎市などが調査したところ、今まで流行したことのないGII.17が変異したものが流行しそうだということがわかった。同セミナーに講師として登壇した首都大学東京の矢野一好 客員教授は「今まで流行したことがないため、ヒトに免疫がないので大流行になるのではと危惧されている」と説明する。ただ、変異をしていても症状や感染経路に変化はないと考えられているため、従来と同じ予防法で対策できるだろうとされている。

首都大学東京の矢野一好 客員教授

新型ノロウイルスはヒトに免疫がないため、大流行になる可能性があるという。

一方のインフルエンザもこれからが流行の季節だ。矢野客員教授によれば、今年はH1型やB型など、例年になくさまざまなタイプのウイルスが検出されており、どのウイルスが流行するかわからない状況だという。しかし、検出されているウイルスに関しては今年のワクチン株に含まれているため、予防接種を受ければ安心できそうだ。

ノロウイルスとインフルエンザともに感染拡大の予防策はほぼ共通しており、手洗い・うがい・マスクの装着・嘔吐物の処理など基本的な対策を怠らないことが重要となる。

感染したら脱水に注意 - 水分だけでなく電解質も摂取を

とはいえ、いくら予防を徹底していても、感染してしまうことはある。インフルエンザの場合、タミフルなどの抗インフルエンザ薬があるが、ノロウイルスなどの胃腸炎ウイルスは対症療法が基本となる。そのため、発熱や咳、嘔吐などによってウイルスを体から排除する期間をどのように過ごすのかが重要となるが、なかでも注意しなければならないのは脱水の予防だ。

脱水は、体に入ってくる水分より出て行く水分が多くなってしまうことで発生する。ノロウイルスやロタウイルスなどの消化管感染症では、下痢や嘔吐、発汗によって出て行く水分が多くなるため、その分水分を摂取する必要がある。その際、ナトリウムやカリウムなど電解質とのバランスに気をつけなければならない。

下痢や嘔吐では水分だけでなく、ヒトにとって不可欠なナトリウムなども出て行ってしまう。この時、電解質が含まれていない飲み物を摂取すると塩分濃度が下がり、低ナトリウム血症という状態に陥ってしまう。そのため、電解質が多く含まれている経口保水液による経口補水療法が推奨されており、同セミナーに登壇した「教えて!『かくれ脱水』」委員会」委員の十河剛 医師は「経口補水療法は点滴と同じくらいの効果があることがわかっている」とその有効性を語る。同医師によれば、経口保水療法では吐いても飲ませることが重要であり、その時なるべく吐かないように1回5ccずつの少量を5分毎に飲ませることがポイントだという。

「教えて!『かくれ脱水』」委員会」委員の十河剛 医師

経口補水療法のポイント

一方、インフルエンザやRSウイルスなどの気道感染症の場合、嘔吐や下痢は軽度であるものの、低ナトリウム血症のリスクはあるため、十河医師は風邪やインフルエンザなどの発熱時にも、水分だけでなく電解質の補給も考慮したほうが良いかもしれないとしている。