日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は11月18日より20日までの期間、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜にて開催されている組み込み技術に関する展示会「Embedded Technology 2015(ET 2015)/IoT Technology 2015」において、日本初公開となるIEC 61000-4-6認証取得済み静電容量方式タッチセンスソリューションなどの展示を行っている。

ET 2015における日本TIのブースの様子

同ソリューションは、同社の低消費電力マイコンMSP430シリーズとして提供される「MSP430FR2633」を用いることで実現されるもの。99ドル(参考価格)で提供される「『MSP-CAPT-FR2633』CapTIvateマイコン開発キット」には、同マイコンのほか、3枚のセンサボードも同梱されており、それらを使って、さまざまなセンサソリューションの開発を行うことができる。

その特長はというと、一般的な静電容量式タッチセンサソリューションの場合、ノイズによる誤作動がよく起きる点が課題だが、IEC 61000-4-6認証を取得していることでもわかるとおり、高ノイズ状態でも誤作動を引き起こさず稼働することが可能な点にある。また、感度も他社ソリューションよりも広く、センサボードの上に厚さ60mmのガラス板、もしくは厚さ25mmのプラスチック板を置いても、センサが誤作動せずに反応することも可能。レーダーセンサ(プロキシミティセンサ)であれば、最大300mm程度までの距離に対応するほか、スライダーも1000ポイントまで刻むことが可能だという。また、待ち受け電流も最小1ボタンあたり0.9μAと低消費電力性も特徴となっているほか、4ポートを同時にスキャンすることが可能なため、右から左へ移動している、といったプロキシミティセンサを用いた3Dスキャニングも実現することができる。

「『MSP-CAPT-FR2633』CapTIvateマイコン開発キット」の内容物を用いたデモの様子。同社のWebなどに掲載されているデモでは金属板を置いても動作する様子や、水に濡れても誤作動を起こさない様子などが見れるが、ET 2015ではさすがにそこまでのデモは行えないとのこと

「『MSP-CAPT-FR2633』CapTIvateマイコン開発キット」の箱の外観。今回の展示会のために何とか確保したというほどで、日本にはまだほとんどものとして存在していないという

このほか、同社ブースでは11月18日に発表したばかりSub-1GHzワイヤレスマイコン「SimpleLink Sub-1GHz 『CC1310』」の開発ボードならびにパートナーによる搭載モジュールの展示も行っている。SimpleLink製品としては、すでにBluetoothやZigBee、6LoWPANなどに対応したマイコンが提供されているが、今回Sub-1GHz帯対応製品を追加することで、適用用途の拡大が期待されることとなる。

同マイコンは3つの機能ブロック(インタフェース部を含むと4つ)に分けられ、それぞれ個別のプロセッサコアで処理が実効される。ユーザーからの命令の処理を行うメインCPUにはARM Cortex-M3を採用しているほか、ソフトウェア無線部はCortex-M0を、そしてセンサコントロール部には独自の16ビットコアをそれぞれ採用している。チップそのものは1ダイだが、機能を分散させているのは、チップの低消費電力化を図るためだという。実際にセンサ機器などの場合、常時スリープと稼働を継続的に繰り返すのはセンサコントロール部だけであり、ほかの部分はセンサコントロール部が何かを感知した後に立ち上がれば電力の消費を抑えることができる、という考えから、こうした構成が採用されたとする。また、オプションとしてDC/DCコンバータ機能を搭載したほか、プロセスも65nmを採用することで、低消費電力化が図られており、センサコントロール部の消費電力は8.2μA/MHzとバッテリの長寿命化を図ることを可能としている。

CC1310の評価キット。本来であればトランシーバとレシーバの2台を用いて評価を行う

参考出展されていたSMKのモジュール

同じく参考出展されていたテレパワーのモジュール

すでにSMKおよびテレパワーがCC1310搭載モジュールの開発を進めており、SMKのモジュールについては認証も取得済みだという。

このほか、同社のブースではDLP技術や10Wの非接触給電 評価ボードの展示なども行われている