ロームおよび同社子会社のラピスセミコンダクタは11月18日より20日までの期間、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜にて開催されている組み込み技術に関する展示会「Embedded Technology 2015(ET 2015)/IoT Technology 2015」において、単3乾電池3本で数カ月の稼働が可能な920MHz帯無線通信機能搭載Arduino互換マイコンボード 「Lazurite Sub-GHz」のデモなどを行っている。

ET 2015におけるローム/ラピスセミコンダクタのブースの様子

Lazurite Sub-GHzはラピスセミコンダクタの16ビット低消費電力マイコン「MLP620Q504」を搭載することで、Arduino比で待機時電力を90%削減することに成功したマイコンボード「Lazurite Basic」に920MHz帯無線通信モジュールをセットしたもの。今回のデモはこれをクライアントデバイス(センサノード)とし、ホストデバイスとして用意したRaspberry Piとそれに接続可能な920MHz帯無線モジュール「Lazurite Pi Gateway」を組み合わせることで、温度や湿度、二酸化炭素量の把握のほか、重量センサを用いたボトル内の容量変化などを手軽にできることが示されていた。

Lazurite Sub-GHzとLazurite Pi Gatewayのよるデモの説明(左)。右はLazurite Sub-GHzのボードで、チップワンストップなどで入手することが可能。また、Lazurite専用Webサイトも開設しており、IDEの提供なども行っている

また、同展示会の「IoT テクノロジー優秀賞」を受賞した世界初とする土壌環境のリアルタイムモニタリングを可能とする土壌センサのデモも見ることが可能だ。

こちらは、酸性度(pH値)、電気伝導度(水分量)、温度といった土壌環境をリアルタイムに測定できるセンサを実際に、植物の根元付近に挿してその状況をモニタリングするといったデモで、静岡大学 工学部の二川准教授をはじめとする複数の大学との共同研究も進められているという。

実際に会場に持ち込まれた植物。ここにセンサが埋め込まれ、そこから得られた情報を確認することができる(右)

ちなみにpH計としてIon Sensitive Field Effect Transistor(ISFET:イオン感応性電界効果トランジスタ方式)を採用することで、シリコンプロセスによってセンサを構築することを実現。これにより、センサの小型化と高精度化を実現したとする。

土壌環境センサ。実際のセンサ部分はかなり小型である

同社としては、ロームらしいIoTの姿を今後も提示していければ、としており、今後も半導体ベンダであることを武器にしたIoTソリューションの実現に向けた取り組みを進めていきたいとしている。